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湯水 ページ2
暖かな湯はまるで母親の羊水のようだ。
湯船に溜めて入ることが出来れば、きっとそれっぽさが増すのに。なんて残念に感じてしまう。だけど、それは考えるまでもない贅沢だ。私にその資格はない。だから、ただ汚れを落とすことに専念する。
体に染み付いた真っ黒な汚れが透明な湯に溶けだす幻覚を見て乾いた笑いをこぼした。
自分だけ楽になろうだなんて、ほとほと愛想が尽きる。人間くさい自身に、呆れを感じてしまう。このままだといつまでもくだらない感情が溢れて止まらない気がして、振り切るようにシャンプーのポンプを押し、中身を手のひらに出す。知らない匂いだ。その事に、また心臓がちりりと傷んだ。
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作者名:ふたひみ | 作成日時:2021年6月25日 10時