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水 ページ1
「僕の4人家族だったのに！！」
悲鳴のような声に、首元に当てられた刃物すら忘れて手を伸ばす。組み敷かれたまま、ピンク色の柔らかな髪をそっと撫でた。
「ごめんね」
呟いた言葉に、彼は俯き強く唇を噛み締める。
震える手のせいで幾度も首の皮を薄く切る鋭い凶器は、けれど振るわれることはなく、やけを起こしたように投げられ、血溜まりに飛沫を上げて落ちた。
掴まれた胸ぐらを揺すられる。力が失われ、まるで子供が駄々をこねるようなそれに身を委ねた。ああ、せっかくお風呂に入ったのにまた汚れてしまう。なんて、背に感じる生暖かい液体の存在にぼんやり考えてしまって脳内で蹴りをくれる。表面にはおくびも出さないまま、ただ、鼻を啜り静かに泣く彼の頭を撫でていた。
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作者名：ふたひみ | 作成日時：2021年6月25日 10時
