1-3:魔人の真意と聖女の血 ページ8
You side
「おや、"そういう関係"とは?」
私の質問に対して、すぐ後ろに立っていたフョードルさんはちょっとわざとらしく首を傾げた。……まぁ、フョードルさんはきっと"そういう関係"という言葉の意味を分かってる。
今はただ、私をからからっているんだろう。
「えっと、……恋人関係の事、です……」
恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして俯いてしまった私がそんなに可笑しかったのか、フョードルさんは手を口に当てて笑っていた。目が綺麗な三日月形になっている。この人、いつも何考えてるんだろ……。
「あぁ、その事ですね。僕としては、ただAさんを揶揄おうとしただけのつもりだったんですけれど……。まさか、あなたがそれに乗っかってくるとは」
「え?」
パリーン!と音を立てて、私の手から落ちた皿が散り散りになった。が、今はそれどころじゃない。
……という事は、だ。彼はそもそも、「純粋な子供の気持ちを守ろう!」なんて事は考えていなかった。つまるところ、私の早とちりだ。嗚呼、恥ずかしい!穴があったら入りたい!でもフョードルさんの前で聖女らしかぬ行動は取りたくない!
「あぁぁ……」
「――おや、Aさん。お皿が割れていますけれど?」
と言った彼が指差す先には、先刻私が落とした皿の破片たちが。見る影もないくらいに散らばったそれらを見ると、何だか余計悲しくなってきた。
「分かってます……」
それ、今言うことかな……。
自分の痴態に泣きそうになりながらも、恐る恐る皿の破片を拾っていると、私の指先に突き刺すような痛みが走った。何の気なしにその左手を見てみると、指先からは赤色の血が。
「うひゃ!?」
驚いて思わず声が出ちゃった。でも、呑気に自分の指先を見つめている場合ではない。私がこうしてうろたえている間にも、傷口からは血が滴っているのだ。
どうしよう、どうしよう。とりあえず、絆創膏貼らなきゃ……。
「確か、この辺に……」
過去の自分を信じて、修道服に縫い付けたポケットを弄ってみる。元々の修道服にはポケットなんて付いてなかった。けれど、この前縫い物の練習ついでに修道服にポケットを付けてみたのだ。神様はきっと、これくらいの改造ならお許しくださるよね。
「……あ、あれ?」
私がいくらポケットの中を探しても、一向にそこから絆創膏は現れない。神様はやっぱり、私が修道服を改造した事に対してお怒りなのかもしれない。
「――……さま?聖女様?」
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びねつ(プロフ) - 夜のお魚さん» お褒めいただきありがとうございます……😭😭そう言って頂けると凄く嬉しいです🥲応援を糧に更新頑張ろうと思います‼️👍 (2月27日 20時) (レス) id: 50028a7fa3 (このIDを非表示/違反報告)
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