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You side
「私は、その……」
――あぁ、やっぱり駄目だ。彼らの大きく綺麗な瞳に見つめられてしまえば、到底嘘なんてつける訳がない。なんて情けない事を考え込んでいると、それを掻き消すようにフョードルさんの声が聞こえた。
「こらこら、坊や。僕が言い出したとは言え、人の色恋に口を出すものじゃありませんよ」
「はーい」
「本当すみません……。
「うぎゃ」
そう言って杏那くんは申し訳無さそうに頭を下げる。そして左手で横に居た沙紗くんの頭を無理やり下げさせた。一方で沙紗くんは突然頭を押さえつけられて、上手く状況が掴めないままフリーズしている。
「ふふ、分かってくれたのならいいんです。好奇心があるのは、何も悪い事ではないですからね」
「だってよ、杏那!」
「馬鹿、開き直るんじゃない。大体、この状況は……」
「まぁまぁ、2人とも。別に私も、フョードルさん……このお兄さんも怒ってないからさ」
「えぇ、そうですよ。……そういえば、Aさん。この子たちは朝早くからここに居るそうですけれど、朝食は食べたのですか?」
フョードルさんは子供たちを見つめながらそう尋ねてきた。彼の質問に応えるかのように、2人のお腹はぐーっと音を立てた。その音に気付いた2人は互いに目を逸らした。……なんだか、この光景を前も見たことがあるかも。これが、デジャヴってやつなのかな。
って、そんな事を考えている場合じゃ無かった。そうだ、私はあの子たちに朝ご飯をご馳走するために此処へ連れて来たのに。このまま彼らを帰してしまえば、私は不審者も良い所だ。
「そうだった!……2人とも、奥の部屋にある椅子に座っててもらっても良いかな?好きな所に座ってくれていいから!」
急に忙しなくなり始めた私を不思議がりつつも、沙紗くんも杏那くんも私の言う通り奥の部屋に行ってくれた。話の通じるいい子で助かった……。
「ご飯だー!杏那、ご飯だぞ?ご飯」
「ご飯、ご飯うるさいな……」
杏那くんは沙紗くんの声を遮るように、耳に手を当てている。けれど、沙紗くんは気にせず喋り続けているみたい。杏那くんのためにも、早く朝ご飯の用意しなきゃ……。
2人の後ろ姿が見えなくなったのと同時に、私はお皿の準備をしながらフョードルさんに或ることを聞いてみた。
「……フョードルさん、さっきのは何だったんですか?私たち、その、"そういう関係"じゃないですよね……?」
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びねつ(プロフ) - 夜のお魚さん» お褒めいただきありがとうございます……😭😭そう言って頂けると凄く嬉しいです🥲応援を糧に更新頑張ろうと思います‼️👍 (2月27日 20時) (レス) id: 50028a7fa3 (このIDを非表示/違反報告)
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