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ついにカフェの中は静まり返った。誰も、何の音も立てなかった。
目の前にいる流れ者は殺人犯。そう知ったら、誰もが言葉を失うに決まっている。
iw「俺は壊れてた。俺は「普通」の人間を……俺達をいじめてた奴等を殺した。でもふっかはもっと壊れてた。俺達に何の関係もない「普通」の人間まで殺すようになった」
空気が凍っていくのを肌で感じる。
iw「それは流石に可笑しいって思った。何度も止めた。でもあいつは俺のためだって言って聞いてくれなくて、」
岩本はそれでも話し続けた。
iw「ふっかは気づいたら仲間を作ってた。「異端」の仲間を作って、「普通」の人間を殺して回るようになった」
dt「……それで翔太は仲間になったの」
口を挟んだのは今まで黙って聞いていた宮舘。感情の読み取れない、淡々とした声だった。
iw「そうだよ、」
dt「それは自分の意思で?」
iw「そう」
宮舘はそれ以上何も聞かなかった。何か思う所があるのかもしれない。
岩本は二人の関係について聞きたかったが、行動には移さなかった。今は岩本が話をする番だ。そう思って話を続けた。
iw「いつの間にかふっかは二十人くらいのグループを作ってた。そうなったら最早ただのテロ組織だ……こんなの間違ってるって思ったけど、もう俺じゃ止められなくて、」
懺悔の思いで岩本の声が震える。
iw「俺のせいでふっかがあんな事し始めたなら……俺がふっかの側からいなくなれば、ふっかは目を覚ましてくれるんじゃないかって思って、」
ru「……それで、この街に来たの?」
ラウールの問いかけに、岩本は苦笑いで答えた。
iw「よく言えばそう。悪く言えば、現実から目を逸らしただけ」
kj「そんな、」
iw「そうだよ。俺は逃げたんだ、壊れていくふっかから__自分の罪から」
岩本は自嘲気味に笑った。
彼にかける言葉は誰からも出て来ない。岩本は顔を上げないまま、この沈黙を断罪の意味で解釈した。
iw「俺が逃げたからふっかは追いかけてきたんだ。事の発端は俺だから、全ては俺のめちゃくちゃな願いから始まったから、だからあいつは俺を取り返すまで消えない。俺を取り返すためなら、あいつは何だってやる」
そこまで話して岩本はゆっくりと立ち上がった。話をしながら心を決めた。
iw「俺……やっぱり出て行くよ。みんなに迷惑をかける前に」
荷物取ってくる、そう言って階段に向かおうとした時。
sk「待って!」
岩本の前に立ちはだかったのは、佐久間だった。
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怜(プロフ) - 如月ヨシノ。さん» わーありがとうございます! 直しました! これからももし見つけたら遠慮せずに教えてください……! ありがとうございました! (2020年11月8日 11時) (レス) id: f87dad8c17 (このIDを非表示/違反報告)
如月ヨシノ。(プロフ) - 岩本"が"「狩猟豹」なのは_。 が 岩本"か"「狩猟豹」なのは_。になってますよ!細かいところですみません。 (2020年11月8日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - 如月ヨシノ。さん» いつもコメントありがとうございます! 更新頻度がだいぶ遅くなるとは思いますが、何卒お付き合いよろしくお願いします! (2020年10月24日 11時) (レス) id: 4e2a0ba139 (このIDを非表示/違反報告)
如月ヨシノ。(プロフ) - 新しい作品楽しみにしてました!更新応援してます! (2020年10月23日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜 | 作成日時:2020年10月22日 23時