模範少年

正論を言う君 ページ9

いつだって君は正論を言う人だった。


「一時の感情で死んじゃもったいないよ」


そんなことを言われた気がする。


そっか、私の“死にたい”って今一時の感情だと思ってるんだね。


「死にたいなんて言っちゃダメだよ」


死にたいって言うことも否定するんだね。


正しい君が言うならそれが正解なのかもしれない。


「生きたかった人だっているんだよ」


じゃあ交換させてよ、死にたい私と生きたい人を。


それなら両方幸せになれるじゃん。


「君より辛くて、大変な思いをしてる人もいるんだから」


辛いことに上下とかあるの？


私の“辛い”はどうでもいいことなのかな。


「嫌なことがあるなら僕に相談してよ」


相談？


相談できるなら死にたくなんてなってないよ。


相談してどうにかなるなら私は屋上にいなかったよ。


「生きてればいつか報われるからさ」


報われる、それなら早く報われてよ。


今までの努力を、嫉妬を、死にたいこの感情を


報われるって？


そんなこと簡単に言わないで欲しかった。


「ね？だから生きよう、大丈夫、僕がいるから」




君は正しい人だった。


いや、教科書のような“正解”しか言えない人だった。

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