模範少年

満点の解答 ページ14

いつだって君は解ってた。


私の求めた解答も解ってくれた。


さあ、答えて。


私に満点の解答をちょうだい。


「僕がいなくなる…こと」


そう、その解答をずっと待ってたの。


その君の絶望した顔が見たかった。


小さい頃のヒーローだった君は、いつの間に私にとって悪役になっていたんだろう。


私を苦しめ続けたヒーローの君。


『ねえ、君は皆のヒーローなんだ』


これはヒーローの断罪。


ヒーローを一番傷つける方法。


それは＿＿＿＿＿＿＿＿＿


『君に私は救えない』


私という助けるべき対象を助けられないこと。


「なに言って…」


優等生の君が一人の人間を見捨てた。


その事実を一生背負って生きてね。


それが君の大罪の償(つぐな)い方だよ。


もう一度私はあの屋上に行く。


後ろから足音は聞こえない。


そう、本当に私を見捨てるんだね。


それが優等生の本性か。


所詮(しょせん)君も巻き込まれるのが怖い“人間”なんだ。


最期に君に教えてあげよう。


『私ね、ずっと君に憧れてた』


「は…？」


何言ってんだ、とハテナを浮かべる優等生。


『ずっと尊敬してた』


『君はみんなの人気者』


『そんな君がずっとずっと嫌いでした』


「ｯ…僕は君のこと嫌いじゃないよ」


最後まで君は優等生なんだね。


ありがとう、模範解答を教えてくれて。


今までもこれからも、











私は君のことが大嫌いです。





にこりと私は微笑んで、景色の綺麗な屋上から飛び降りた。

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