模範少年

幸せだったはずの彼 ページ12

いつだって君は“良い人”だった。


そうだね、君に更生させられたヤンキーの話をしようか。


彼のお母さんはいわゆる“教育ママ”だった。


彼は小さい頃から英才教育を受けさせられていたの。


一つ君と違うとすれば、


君はやりたくて勉強をしたけれど、彼は嫌々勉強をしていたことかな。


嫌々やったらもちろん勉強が嫌いになる。


それでも彼は好成績を保ち続けたんだ。


ある日、彼のお母さんの浮気が発覚した。


相手は有名企業の社長。


結局彼のお母さんは地位と名誉が欲しいだけだった。


彼の両親は離婚し、彼はお父さんについて行った。


そしてしばらくは幸せな日々だったんだって。


でもその幸せは長く続かなかった。


お母さんから一本の電話が来たの。


「優秀な息子をよこせ」


彼のお母さんは既に莫大(ばくだい)な権力を持っていた。


普通に過ごしていれば逃げる事は不可能。


だから彼はヤンキーの“フリ”をしたの。


グレた息子を見れば諦めてくれると信じて。


そして彼と彼の元お母さんの面会前日。


君が彼を更生させた。


元は優しい心の持ち主の彼は君の説得に負けてしまった。


そして彼はお母さんに引き取られたよ。


あのお母さんの元で幸せになれるのかな？




君は彼の幸せを奪った人なんだ。

模範少年の君→←可能性を潰した人

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す