その少女、監視対象 No.3【名探偵コナン】

82.卵 ページ13

「わー！さすが、綺麗に整頓されてるー」

降谷さんの冷蔵庫の中を覗き込み、綺麗に並ぶ食品の隙間に持ってきた物を雑に突っ込んでいく水瀬さん。
まさか冷蔵庫が壊れた事が原因で降谷さんの家に呼ばれ、監視を任せられるとは思ってもいなかった。

水瀬さん、あまり降谷さんを振り回さないであげてください……。

「ねーねー、風見さんっていつまでいるの？何か食べたい物ある？今日ぐらいなら作ってもいいですよ」

「降谷さんが帰ってくる明日まではここにいる予定ですが、私は栄養食を持ってきたので大丈夫です」

「えー、せっかくだしちゃんとご飯食べましょうよ！うーん、オムライスにしますね」

「あ、ありがとうございます」

結局自身でメニューを決めるのかと思いつつ、一応お礼を言う。彼女はそれににっこり笑うと冷蔵庫から材料を取り出し始めた。

「……それは降谷さんの卵では？」

勝手に降谷さんの食材を使い始めた水瀬さんに使っていいのか聞くと、まぁいいんじゃない？と適当な返事が返ってきた。

彼女は基本的に降谷さんに当たりが強い。まぁ今までの境遇や扱いを考えれば妥当なのかもしれない。しかし観覧車の件もあったので少しは仲が深まっていると思ったのだがそんな事は無いのだろうか……？

未だに彼女に纏わる事件について全く進展が無い。外で友人との会話の様子も見ていたが特別な事は無かった。
おそらく今の状態の彼女からは何も情報は得られない。降谷さんは忙しく、既に嫌われている様子だから仲を深める事は難しいだろうか。

ならば私が彼女と親交を深めて情報収集した方が……。

そうこう考えているうちにダイニングからいい匂いが漂ってきた。

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