《文スト》敵に恋しちゃ駄目ですか？[短編集]

梶井基次郎×探偵社少女 ページ18

今日の御相手は、マフィアのマッドサイエンティストさんです！
ちなみに、Aさんは探偵社所属。既に知り合い設定です


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つんと鼻につく火薬の香り、
阿鼻叫喚を思い浮かばせる悲鳴の明暗(コントラスト)。

たなびく白衣を着崩した狂人の姿が、そこにはあった。


「やァ、今回の贈り物(プレゼント)は気に入って頂けたかな？」


まるで花束を贈るかのように、いとも簡単に
其奴(そいつ)はさも愉快そうに言った。


「＿＿嗚呼、佳(い)いね、その顔。もっと魅せてくれ！僕だけに、君の全てを！」

『…アンタ、頭おかしいよ…』

「……光栄だね」


噛み締めた唇から、鉄(血)の味がした。


「抑(そもそも)、君が首を縦に振らないのがいけないンだよ？Aちゃん」


まァ、そンな君だから手に入れたいンだけどね、と音符が付きそうな程の明るく言った梶井を、全力で睨みつける。それでも彼は、小さく笑みを零(こぼ)しただけだった。


『絶対に、アンタなンかに屈しない！』

「…へぇ？」


コツコツと、靴音を立てて歩み寄ってくる梶井。
慄(おのの)いたように自然と後ろに下がる足が、背後の壁に触れる。

しまッた、と思った時には時既に遅し。
壁に縫い止められた私の顔と、勝利を確信したかのような梶井の顔が近付いて、重なった。

口内に、じんわりと血の味が広がって、軽い眩暈(めまい)がする。


「A、君こそが僕の隣に相応しい！これ以上拒むというのなら、手段は選ばない。」

『っ…最低。』

「科学者とは理解され難いものさ。」


流れ込んでくる、吐息をも飲み込むような本気。


「さて。次はどンな贈り物(プレゼント)をしようか。」


そう言い残して、踵(きびす)を返した彼の姿が、やけに大きく見える。
私は、収まらない鼓動を押さえ付けるように拳を握った。

軍警の迫る警報(サイレン)の音や怒号を遠くに聞きながら。私は。
＿＿不屈、という言葉が崩れていくのを見た。


ーーーーーー

梶井「今すぐに奪って欲しいッて？仕方無いな！でも、僕もやぶさかじゃあない。Aが星を付けている間に、飛んでいこう！」

梶井「白雪 さんリクエスト有難う！強引な僕は嫌いかい？そうじゃない事を願おう！」

森鷗外×探偵社少女→←織田作之助（黒の時代）×ミミック少女

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