《文スト》敵に恋しちゃ駄目ですか？[短編集]

太宰治×組合少女 ページ13

今日の御相手は、武装探偵社の包帯無駄遣い装置さんです！
ちなみに、Aさんは組合所属。互いに既知だが会うのは初めて設定です


ーーーーーー


『………ぅお…』


思わず変な声が漏れて、慌てて口を噤(つぐ)んだ。

かつて組合の組員として、暴れていたのも過去の話。
ジョンに付いていく気にはなれなかったし、団長には金銭面以外に価値を見出していなかったから。
自然と私は、一人の道を選んだ。

ちなみに、絶賛カツアゲ中でした。
先程オルコットさんを虐めてたザア何とかって人達から生活費をゲットしたところで、目の前の男に呼び止められたのだ。ここで冒頭に戻る。


「やぁ、君は元組合で間違いないかい？」


超絶胡散臭い笑顔を浮かべたこの長身イケメンに、クルリと背を向けるとダッシュする。
理由は単純、この男・太宰治に勝つ見込みが無いからだ。
生活費を死守しなくては、餓死する。それ程まで私の生活が切羽詰まってる事は、煤(すす)だらけの衣服でご覧の通りだ。


「まぁまぁ、待ち給えよ」

『ぁだっ、』


何かにつんのめって、派手な音を立てて地面とキスをする。
ファーストキスがコンクリとか、人生詰んだ…!?何て馬鹿げたことを悶々と考えていた私に、太宰治はけろりと探偵社への勧誘を行った。顎が外れるほど呆気に取られて彼を見る。

戦う理由も、断る理由もない。
しかし…


『腐っても組合！探偵社何かの手下には入らない！』


……違うんです。別に探偵社が嫌とかじゃなくて…

私、オルコットちゃんレベルの人見知りなんだよなぁ…

そんな事を知ってか知らずか、太宰治はにこりと笑うと


「別に焦らなくていい。君が折れるまで何度でも口説くだけだよ」


君のような美しい女性に、此処(ここ)は似合わない。
そんな言葉にぐらりと心が揺れる感覚がしたが、気づかない振りをした。


『アンタは敵！これは組合が潰れようが変わらない！』


っていうか女の敵！
そう声を荒らげた私を見て、太宰治は愉しそうに笑った。


「あまり五月蝿いと、次は地面じゃあなく私と口付けする事になるよ？」


………やっぱり此奴は女の敵だ。
胸が騒がしいのは、何かの間違いだ。


ーーーーーー

太宰「何なら地面とのファーストキスを、もっと甘美なもので塗り替えてあげようかい？勿論、評価をしてくれたらの咄(はなし)だよ？」

太宰治（黒の時代）×ミミック少女→←坂口安吾×マフィア少女

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