《文スト》敵に恋しちゃ駄目ですか？[短編集]

太宰治×マフィア少女 ページ2

今日の御相手は、探偵社の心中大好きさんです！
ちなみに、Aさんはマフィア所属。既に知り合い設定です


ーーーーーー


「やぁ、また会ったね！」


悠々とした声に、驚いて振り返る。
さっきまで、気配はなかった筈なのに。


『…嬉しくもなんともないんですけど』


私は、銃に力を込め乍(ながら)答えた。
路地裏に、ピリッとした緊張感が走る。


「君の後ろで倒れているのはどなたかな？」


私は、先ほど事切れ、今は只(ただ)の肉塊(にっかい)と化しているモノをちらりと見た。
こんな職業をしていると、罪悪感を感じる心は麻痺するらしい。


『…別に、関係ありません』


此の人に関わるとろくな事にならない。
確か、前回は市警を呼び込んでくれたな。
危うく関係のない人間を葬るところだったのを覚えている。


「其処(そこ)は君の居るべき場所じゃあ無いと思うのだけどねぇ…」

『此処(ここ)以外に私の居場所なンてありませんよ』

「私は、そうは思わない。君は、決して無駄な殺しをしないだろう？」

『…其(そ)れと此(こ)れとは咄(はなし)が別です。』

「相変わらずツレないねぇ…」


大きな溜息を吐いて、私の瞳を捉える。
まるで、蛇に射竦(いすく)められたように、身体が自由を利かなくなった。


「君はまだ、綺麗だよ。今なら間に合う、一緒においで」


ゆっくりと歩み寄って唇を重ねた太宰さんの胸を、突っぱねた。


『っ、さよなら！』


熱持った頬を隠すように、踵(きびす)を返す。


「A、次は君を奪うよ」


鼓動が、早い。
太宰さんの言葉が、私を蝕んでいった＿＿


ーーーーーー

太宰「まだ間に合うよ。星をつけてくれ給え。
そうすれば…今夜、君の元へ馳せ参じよう」

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