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午後の授業開始5分前を知らせるチャイムが、夢の世界から現実へと俺の意識を引き戻す。

「ん....、あ、....俺、寝てた....?」
「あぁ、爆睡だったぞ、竜兎(りゅうと)!」

聞きなれた声と共に、突然、頭に冷たいものが触れた。

「っめて!も〜....それやめろっつってんだろ!陸玖(りく)!」
「っはは、悪い。ほら、水。」
「....サンキュ。次、何だっけ?」
「国語。」
「うげ....あのハゲかよ....寝よっかな。」
「それ以上寝てどうすんだ?背が伸びる訳でもないのに。」
「うるせぇな!これからなんだよ!」
「ふっ、はいはい。」
「ったく........。(外だからって顔作りやがって。)」

陸玖は、幼稚園からの幼なじみだ。
小、中、高と12年間、同じ学校に通っている。
低身長で勉強もあまり出来ない俺と違い、陸玖は、背が高く、成績も良く、運動も出来る。

「(....オマケに、顔よし性格よし。まさに理想の男ってやつ?)」

女子からも男子からも好かれる陸玖は、みんなの憧れの的だ。
そしてその"みんな"の中には、もちろん俺も入っていた。
自分にはないものを持っている陸玖が、羨ましくも、憧れだった。

「("だった"....はずなのに。いつからこんなふうになったんだっけ。)」

明確な理由も、きっかけもない。
気づいた時には、憧れは恋に変わっていた。
叶うことなどない。一生の片想い。

「....はぁ........つら....。」
「?....どこか悪いのか?」
「っえ!?あ、いや、大丈夫。(やべ、口にでてた。)」
「そうか?ならいいけど....。なんかあったら言えよ?」
「あぁ、わかった。ありがとな。」

この優しさが、今は矢のように感じる。
自分に向いているのはただの友愛なんだと、思い知らされる。

「(あ....やべ、本当に体調悪くなってきたかも。)」

余計なことを考えるのは辞めようと、始業のチャイムを聴きながら、ゆっくりと意識を手放した。

○→



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幸喜(プロフ) - くろ狐の暇潰しさん» ありがとうございます!! (2019年8月8日 23時) (レス) id: d3265c7f63 (このIDを非表示/違反報告)
くろ狐の暇潰し(プロフ) - 幸喜さん» わざわざすいません!返信ありがとうございます!これからも頑張ってください! (2019年8月8日 18時) (レス) id: eabc7a4ecc (このIDを非表示/違反報告)
幸喜(プロフ) - くろ狐の暇潰しさん» そう言っていただき光栄です....!僕も語彙力が無い身なのですが、読みやすく書けているなら良かったです!あまり難しい表現を使われても頭に入ってこなかったりしますからね....文章を書くって難しいです(汗)コメントありがとうございます! (2019年8月3日 16時) (レス) id: d3265c7f63 (このIDを非表示/違反報告)
くろ狐の暇潰し(プロフ) - すごいです!! わたし語彙力無いが故にまともな作品をつくれないもので……。 読みやすかったです!! (2019年8月2日 10時) (レス) id: eabc7a4ecc (このIDを非表示/違反報告)
幸喜(プロフ) - 湯96_yukuro_さん» 僕自身語彙力が本当にないので、難しい表現が使えないと言いますか....なので、割と誰でも読めるような文になっていると思います!そのおかげでスっと入っていってくれたのかもしれないですね(?)コメントありがとうございます! (2019年7月26日 7時) (レス) id: d3265c7f63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:幸喜 | 作成日時:2019年7月22日 0時

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