2.同室 ページ4
「おお、A。よく来たな」
中には白髪のおかっぱおじさん。
多分、学園長だ。
「今日からよろしくお願い致します。学園長」
「うむ。よろしく。実は今な、部屋が空いていなくて……男子と一緒では駄目か?」
「いいですよ?」
もともと男より強いっていうことを示したいんだもの。
そのためには男の弱点を調べないと。
それに、一緒に過ごしていた方が優秀な人材も見つけられそう。
「そうか。じゃあ、宮乃A。お主が忍術学園四年い組に編入することを認めよう。四年生は紫の忍び装束じゃ。後で着替えなさい」
学園長から紫の忍び装束を渡される。
私はそれを手に取った。
「ありがとうございます」
学園長室を出て、すぐに忍び装束に着替える。
今日は長期休暇明けで、授業がないらしく、自由だ。
早速、自室となる部屋へと行った。
「お邪魔します」
スパーンと障子を開ければ、先程の綾部喜八郎と、ポカーンとした奴がいた。
「あれー?……んっと、さっきあった子だよね?」
「はい。宮乃Aです。あなたたちと同じ四年で、い組です。部屋も同室になりました。お願いします」
「よろしくなっ、A。私は学力も実技もナンバーワン!この世の誰よりも美しい平滝夜叉丸だ!」
濃い茶髪の人が決めポーズをする。
すごい自惚れ屋じゃん。
「じゃあ次は僕〜。僕は綾部喜八郎。で、こっちは踏子ちゃん。可愛いでしょ?」
こてんと首を傾げる貴方の方が可愛いです。
と言いそうになり、顔を背ける。
くっ、私を油断させるとは…やるな。
……それより、
「綾部くん、私に穴の掘り方を教えてください!約束でしたよね?」
「えぇー?そんな約束したっけ?」
「しました!」
眉を寄せれば、綾部くんはニヤリと黒い笑みを浮かべた。
なんとなく嫌な予感。
「覚えてないや」
「お願い……。駄目ですか?」
「うぅー。ずるいんだけど。いいよ。僕の踏鋤貸してあげる」
「ありがとうございます」
思わず笑みが零れる。
すると、二人は口を手で押さえた。
「どうしたんですか?」
「何も!あと、僕は喜八郎でいいから!綾部くんはなんか気持ち悪い!」
「な、なんですと!?」
「その気持ち悪い敬語もはずして!同級生と下級生には敬語はずしていいんだからね」
「分かりまし……分かった」
なめられないようにと思ってしてたのに。
「アホハチローだけズルいぞ!A。私も滝夜叉丸と呼ぶのだ」
「た、滝夜叉丸…?」
すると、滝夜叉丸は気絶してしまった。
39人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もちもち | 作成日時:2019年11月30日 7時