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「良い子はおねんねか？」
扉が閉まる音が響くと、廊下の明かりから切り離されヒロトの影が消えた。
代わりに枕元のライトを点けると、パジャマには勿体無い着心地の良さそうなパーカーを纏った彼が現れる。
「…明日は寝坊するわけにいかないから」
マットレスのシーツに手を触れ、体を起こした。眠気の欠片も感じていないからか自分の体がずっと軽く感じる。
ヒロトはベッド際に来るなり、遠慮無くドカッとマットレスに腰を下ろした。反動で私の体が跳ねて、同時に心臓も大きく脈打つ。
本当にヒロトは、最後の最後まで遠慮をしらない。
「お前寝坊なんてしたことねーだろ」
「万が一の為だ。…それで？」
「あ？」
「何で私の部屋に来たんだ」
ヒロトの方に視線は向けられなかった。理由は単純だ。
優に私が二人並んで眠ることができる程の大きさがあるベッドではあるが、どれだけヒロトと距離が離れていても同じベッドの上に居るというだけで話は変わってくる。
しかも部屋を照らすのは小さな電球が放つ淡い光のみ。
私だって、子どもだとはいえ全てに対して無知なわけではない。こんな状況で、ヒロトと居られることに素直に浮かれていて良いとは当然思っていない。
「別に？俺と過ごせる最後の夜なんだしよ、良いじゃねーか」
「ヒロト。私が一緒に居たいって言ったからって、何でも許される訳じゃ」
「何だぁ？嫌なのかよ？」
私の返答なんて分かりきっていると言わんばかりにわざとらしく、ニヤリと笑顔を浮かべヒロトは言った。
一方、問いかけに対しあからさまに動揺している私は、伸ばしていた足を自分の方に引き寄せた。ヒロトとの間を少しでも離すための小さな抵抗だ。
「嫌とかそういうことじゃなくてだな、その…この状況は色々問題があると思わないのか？」
「…おいおい、何想像してんだよお前」
ヒロトは溜め息混じりに肩をすぼめた。血液が一気に流れるように私の顔が熱くなることも、ヒロトの思惑通りなのかもしれない。
「う、うるさい。理由を言わないそっちが悪いだろ」
私はその時の精一杯でヒロトを睨み付けたつもりだった。けれど桃色の瞳に見つめられて、逆に私が怯んでしまう。
「しゃーねぇなぁ…教えてやるよ、理由」
それ程粘った覚えは無いが、何故か私が譲歩してもらったような言い草で、ヒロトは私から視線を外した。
「お前に、今までの礼を言いに来たんだよ」
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狩間篤花(プロフ) - narutokun0531さん» コメントありがとうございます。長い間私の作品を見てくださって本当にありがとうございます…！これからもお褒め頂けるよう精進して参ります(*^^*) (2019年5月6日 8時) (
レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
narutokun0531(プロフ) - 初コメ失礼します。単眼のセレーネからずっと読んでます。シリアスと甘い恋愛を絶妙に書き分けられる作者様がとても羨ましいです。この小説も読んですぐに気に入ったのですっ！！応援してます、更新頑張って下さい！！ (2019年5月5日 12時) (レス) id: a9d6e0cd93 (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 輝夜さん» はじめまして(* ´ ▽ ` *)一気読みしていただけるなんて…嬉しい限りです。ありがとうございます(*^^*)お声に答えられるよう、出来るだけ早い更新を心がけたいと思います！ (2019年4月30日 17時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - はじめまして！夢主ちゃんもヒロトも可愛くて尊いです(´；ω；｀)最初から一気に読みました！これからも更新頑張ってください！！ (2019年4月28日 23時) (レス) id: ad533fb363 (このIDを非表示/違反報告)
狩間篤花(プロフ) - 蓬莱山 輝夜＊さん» コメントありがとうございます。私も新シリーズを見てヒロト君に惹かれてしまった者です( ´-｀)更新頑張ります。 (2019年3月28日 11時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩間篤花 | 作成日時：2019年3月16日 6時
