稲妻系アイドル。２【イナゴ】 (ページ9)

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優一さんと握手した手は何だかほんのり温かかった。
温もりがすごく感じられた。

すると、

「優一君！
リハビリの時間よーっ！！」

病院の玄関のところに、
藤色の髪を束ねている看護士さんがいた。

優一さんは、その人を見るなり、
ちょっと苦笑いをしながら、「残念だなぁ」と呟いた。

「もうちょっと京介とAちゃんと話していたかったんだけど……」

「別に、また来るからそんな寂しがらなくてもいいよ兄さん」

「まぁ、そうなんだけど、ねぇ……？」

「？」

そう言いながら、何故かあたしの方をチラッと見る優一さん。

……なんであたしの方を見てるんだ？
少し、頭の上にハテナマークが浮かぶ。

うーん……。
あ、もしかして優一さん、あたしにまた会いたい……とか……？

「優一さん」

「どうしたの、Aちゃん？」

「会いたかったら、また会いに行きますよ。
あたし、暇人なんで」

「本当？なら、嬉しいなぁ！」

ニコッと無邪気に笑う優一さんは、

さっきのかっこいい雰囲気とは違って、
どこか可愛く、子供っぽさを見せていた。

「優一くーん！？」

「すみませーんっ！！
じゃあ、またね！」

「あ、兄さん、一人だと大変だろ？
俺、玄関まで送ってくよ」

「あぁ、京介ありがとな」

自然と優一さんの車椅子の取っ手を持つ剣城君は、
何だか英国の紳士に見えた。

というか、
いい弟さんですね、優一さん……！

と、一人感動に浸っていると、いきなり剣城がこちらを向いて、こう一言。

「あの……だから、ちょっと待っててくれませんか？
――Aさん」

驚いた。

剣城君がそんな事言うなんて思っても無かったから。

だってあたしはただの一般人だよ？
なのに、どうして「待っててくれ」なんて言うんだろ？
……まぁ、いいけどさ。

でも、
アイドルは好きじゃないけど、有名人に名前を呼んでもらえたのは少し嬉しかった。

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「良い子だったね、Aちゃん。
どこで知り合ったの？」

「いや……まぁ、ちょっと出会い方は最低だった」

「？へぇ……。
にしても、結構可愛いよねー」

「まぁ、そうなんじゃないか？」

「――京介、付き合っちゃえばいいのに」

「！？ちょ、兄さん！？」

「ふふっ、ちょっとからかっただけだよ！」

「……ハァ……」

「(……“付き合う”、か……)」

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