【黒子のバスケ】未来へのキセキ XⅠ (ページ36)

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第536Q 制限解除ページ36

「わざわざ進んでとどめ刺されに来たか。蛮勇だな。」

「…っ、うるせぇ！！」

そして、この時全員の希望は火神のゾーンにかかっていた。

「……無理もない。洛山は…赤司っちは強すぎる…ゾーンに期待せずになんてやれっこないっス。
けどそれは陽泉戦の時とまるで同じ。
ゾーンの扉は如何なる時も無情。縋る者に開くことは決してない。」

そう言う黄瀬。

その一方ではトリプルスレットに入った瞬間、赤司の手がボールを火神の手から奪い去る。

「行かせないよ、征っ！！」

「君に僕は止められない。これは絶対だ。」

「その絶対を覆す！！」

目の前に立ったAをドリブルの切り返しで重心を崩すことを狙う赤司だが

長年、共に戦ってきた相手だからこそ
そう簡単に崩すことはできず、シュート直前までAは赤司に食らいついた。

シュートは惜しくも決まるが、
消してAは赤司に引けているわけではない。

「次は止める…！」

「君は僕に勝てないよ。」

この時、Aの意識を支配したのは怒りに近い感情だった。

「(あぁ…視界が狭い、落ち着け。
勝てる可能性が更に低くなる。落ち着け…落ち着け)」

1つ深呼吸をし、梟の目がコートを捉える。

「(勝つために…このメンバーで…そのためなら私はやれる。)」

そっと右肩に手を当て、くるりと肩を回した。
再び目を開いた彼女の雰囲気を見ていた"キセキの世代"たちは寒気を覚えた。

彼女が持つ能力はコートを俯瞰から見る【梟の目-ｵｳﾙ･ｱｲ-】
それと組み合わせた洗練されたハンドリングからの技術。

そして、それを利用し男子の中ではパスを回すことに専念していたが彼女だが

この時は自身にかけていた制限を外したのであった。

つまりは、積極的なOF参加。
しかもそれは、他者を頼らないワンマンプレイ。

過去に1度、"キセキの世代"と呼ばれる彼らの前で披露したことがあり、
あまりのワンマンプレイなことに加え体への負担が大きすぎるため
監督からの禁止令が出されていたのだった。

「先輩方、大我…ここからはボールを全て私にください。そして…全力でDFに回ってください。」

あまりに真剣な彼女の眼差しに全員首を縦に振った。