【黒子のバスケ】未来へのキセキ XⅠ (ページ18)

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第518Q ライオンとチワワページ18

視線誘導を使うのであれば精通している黒子を当てるのが適任、だがそれは不可能な話であった。

なぜなら黛の基本性能は先ほど赤司が告げたように技術力は黒子よりも上、シュート力も彼以上。
視線誘導で見逃すことはなく防げたとしても、
1対1に持ち込まれた際に黒子に勝ち目がないのだ。

「(…見たか、新型だの旧型だのなんてことに別に興味はないがお前とはもう別物…これがオレのスタイルだ。お前なんかに勝ち目はねぇよ……)」

そう思いながらちらりと誠凛ベンチを見れば、黒子からの視線にゾクリと寒気が全身を駆け巡った。

「(コイツ…オレをみてる…いや、観察してるのか…！？)」

第2Q残り9分弱、洛山の背中が少しずつ遠のいて行く。
黛をAが封じたとしても残る赤司や"無冠の五将"の勢いは止まらない。

そんな中、リコが下した決断はそこにいる誰もの予測を覆すものだった。

「黒選手交代です！」

誠凛のメンバーチェンジが伝えられる。
伊月と代わってコートに入るのはまさかの1年の降旗。

コート内の誠凛のメンバーたちも目を見開いて驚く。降旗もガタガタと震えながらリコからの伝言をメンバーに伝えそれぞれが指示通りポジションにつく。

黛の前にはA、葉山の前には火神、実渕の前に日向、根武谷の前に木吉…そして残る赤司の前には降旗が立った。

これほどまでに圧倒的な実力差のあるマッチアップは珍しい。観客たちも顔を痙攣らせる。

「大ちゃん…これって…？」

「どーもこーもねーよ…オレにはライオンの前に
チワワがいるようにしか見えねーが……」

青峰の例えが1番相応しいかもしれない。
誠凛のまさかの行動には3人の"無冠の五将"たちも「「なに考えてんのおぉおー！？！？」」と叫んだ。

「(ナニコレ？オレに橙野Aがつくのはわかる。
視線誘導に鷹の目と同系統の能力である梟の目を持つ彼女に付かれればオレの動きはほとんど制限されるだろう。ただ、彼女の代わりに赤司がつく人選はぶっ飛びすぎだろう。)」

この時赤司はこの試合初めて動揺と言うほどではないが…僅かな困惑の色を見せた。

「こっ…ここっ、こいっ！！」

弱すぎてどうしよう…と。

実渕に呼ばれ、彼の元へ向かおうとすると背後で足を絡ませ力なく降旗が倒れこむ。
この先の試合展開に不安しか生まれなかった。