No.89 ページ43
さとみside
これ、暫く眺めてられるなぁ。
だけど、そろそろ本当に辛そうだから離すか。
パッとAの口から自分の指を取り出す。
彼女の口からツウッと糸が伝う。
今すぐに襲いたいという欲を抑えながらも、自分の指を舐める。
『ﾊｧ……ﾊｧ………っ、！？』
さっきまで指を突っ込まれまくって息を整えていたA。
俺がAの舐めた指を舐めるとりんごのように真っ赤な顔になった。
……………あーーーー。
愛おしい。
これほどまでに人を愛したことは無いだろう。
母さんでさえ、忙しすぎてまともに話したこともあんまり無い。
目の前にいる彼女は顔をうつ伏せ、手の甲で顔を隠す。
肩で息をしながらも、恥ずかしがって目を必死に合わせようとしない彼女が可愛らしく、愛らしい。
さと「なぁ、A。」
そっ、とAの頬に手を添える。
Aは驚いたように顔を上げる。
『なっ、に、………』
彼女は少し威嚇するようにして俺を睨む。
長いまつ毛に、丁度良い大きさの涙袋。
いつもの平行眉から変わり、キリッとした眉。
ぷっくりとした唇と頬は少し紅く染まっていて美味しそう。
さと「好き。」
考えるよりも先に発言する方が勝った。
今、目の前にいる内に、
俺から離れる前に。
いや、
どうせならずっと閉じ込めて置きたいくらい。
さと「誰よりも愛してる。」
更に紅く染まった頬を見て理性を保ちながらも、ちゅっと唇同士が触れる程度のキスをした。
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作者名：あいますく | 作成日時：2022年12月5日 19時
