奇妙な関係・２ ページ3
連れてこられたのはお偉い方ばかりが集まる会議室だった。
「失礼致します。」
武藤に続いてそう告げ中へと入ると、ぐるりとコの字型に設置された席に着くお偉い方、次に視線を動かすとその前にひとり立つ金髪の男が目に入る。
その男は身なりさえ整ってはいるが、肩を前に出し首を緩く傾け鋭い眼光で前方を睨みつけている。
この男、コネシマだ。
そう思い当たった瞬間、バチリと音がしてコネシマと目が合った。
温度のない刃物のような瞳に貫かれ、一瞬身震いするような恐怖に駆られるが、その視線はつまらなさそうにすぐ逸らされた。
解放されたAは何事もなかったように敬礼をとる。
「揃ったな。なおれ。」
「皆さまお揃いのようですが、どういった催しでしょうか。」
「蓮水くん、口を慎みなさい。」
武藤の焦った声が横から聞こえるが、Aは構うことなく視線を前に向ける。
すると中央に腰掛けた男がしかめっ面で口を開いた。
「蓮水。おまえも聞いただろうが今日にでも我々は連続惨殺事件の捜査本部を立ち上げる。おまえはその捜査本部にコネシマのバディとして加われ。」
「は？」
「は？」
ふたつの困惑の声が同時に重なる。
驚いて横を見ると、コネシマがAを見て目を見開いていた。
「話が違います。なんで俺が女とバディ組まなアカンねん。」
「待ってください。私のバディはショッピです。第一に私と彼は初対面で。」
「一度口を閉じたまえ。」
ビリリと、会議室内に電流が走るかのごとく重い声が響く。
「証拠だけ突きつけて出所を吐かないおまえを本部に入れる代わりに、バディはこちらで決めさせてもらった。
蓮水は優秀で勘もいい。問題ない。
何よりコネシマ、蓮水はおまえの監視役だ。
いつものように馬鹿げた捜査ならすぐにおまえを捜査本部から外す。」
「…ええ子にしとってホシあがるんなら刑事も楽な仕事やな。」
「コネシマぁ！」
端の席から大声をあげる課長に向けて眉間の皺を濃くし無言で威圧するコネシマ。
Aは横目でチラリと武藤を見るが、目をつぶり下を向いている。
「それに女の方が都合がいい。今週末××港から出航する大型客船のパーティーの参加名簿に容疑者の名前がある。男女での潜入捜査が最も理想的だ。行けるな蓮水。」
「承知しました。」
「わかったら行け。くれぐれも警察の品位を落とすような捜査はするなよ。」
こちらに目もくれず退出するコネシマを追いかけ、Aも敬礼し部屋を出た。
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作者名：サハラ | 作成日時：2022年1月6日 12時
