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どうやら私の力、つまり求血者(アトラクター)の力があれば、まふくんを助けられるらしい。

ちょっと自分の力を使えば彼を助け、自分もここから帰れる、ということか。

それならば、選択肢は一つしかない。


 『私の力、使ってください』


珍しく、そらるさんは動揺したような表情をする。


そ「え……あ……方法とかそれがどうなるかとか分かってんの……?」

 『分かりませんよ。そらるさん教えてくれないし。』

そ「血……血を口に含ませれば……」


直後に、焦った表情に変わった。

余計なことを口走ってしまった、と思っているのだろう。

動揺のあまり言ってしまったように見える。

何故、そこまで焦っているのだろうか。



なんだ、簡単なことではないか。

変な呪文を唱えるとか、怪しい儀式をするとかそんなことを想像していたが、それだけなら容易いではないか。

別に迷うことは無いと、自分の手のひらを思いっ切り引っかいた。

裂けた皮膚から血が溢れる。思ったよりも痛かったが、気にはならなかった。

まふくんの唇に触れ、口を微かに開かせる。意外と柔らかいな、とか考えてしまう。

溢れた液体が指を伝う。この雫を彼の口に含ませれば、彼は助かるらしい。

彼の口に雫が含まれる。これで大丈夫だろうか、と思った瞬間だった。


不意に体の力が抜ける。

息を吸いたくても、吐きたくても、それすら叶わない。

全身の活動が、唐突に停止してしまったような感覚だ。

見開いたまま、閉じることすらできない瞳に映る視界に、さっき以上に焦った顔をしたそらるさんがいた。

視界が、真っ暗になる。

何が起きているのだろう、と思った瞬間、辛うじて感覚の残っていた皮膚に、刺される様な痛みが走る。

体に鋭利な何かが突き刺さり、薄い肉を突き破る未知の感覚。

何が起きているのだろう、と考えても、脳は既にその機能を放棄している。

意識が薄れる。

ごめん、と呟く声が聞こえた気がした。









__そのため、他の人間と同様、噛みつかれた吸血鬼に唾液を注がれれば、吸血鬼となれる。その際、吸血鬼になる瞬間の体の不調や怪我は全てリセットされる。理論上、死にかけの人間に唾液を注げば、健康な状態の吸血鬼にさせることも可能。

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設定タグ:歌い手 , AtR , 吸血鬼   
作品ジャンル:ホラー
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もみじ(プロフ) - 最後の展開が予想外でめっちゃくちゃ面白かったです!!好きな歌い手さんしかいなくて読んでて幸せでした(笑)  (2022年6月8日 17時) (レス) @page50 id: f10d40c9f5 (このIDを非表示/違反報告)
咲魔_ジャジャ麺 - 好きです!最新頑張ってください!そして英語ぉなんもわかんない(翻訳?みたいなの使ったけど) (2019年2月9日 16時) (レス) id: ac3afb786c (このIDを非表示/違反報告)
眠気の極み(プロフ) - あほの人。さん» そこまで言っていただけるとは……! 沢山の小説の中から見つけてくださりありがとうございます! コメントありがとうございます! (2018年12月23日 11時) (レス) id: 4d945e9819 (このIDを非表示/違反報告)
あほの人。 - めっちゃ好みです!!検索したりしてたら、眠気の極みさん見つけて、うわぁぁぁ!!!ってなって、見たらやっぱ神作でした、、、!!これからも頑張ってくださいね!! (2018年12月21日 16時) (レス) id: 1ae863597a (このIDを非表示/違反報告)
眠気の極み(プロフ) - わあああ褒めてくださりありがとうございます!描写にちょっと悩んだところだったので嬉しいです…! (2018年11月25日 20時) (レス) id: 4d945e9819 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:眠気の極み | 作成日時:2018年10月23日 17時

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