吸血鬼にさらわれました。【そらる】【まふまふ】

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どうしよう、と考えていた。

手錠やら足枷やらは思ったよりもきつく、微かに身じろぎができる程度だ。

猿轡を嵌められているため、助けを呼ぶことすらできない。


部屋はただただ静かで、少し寒かった。

人間、非日常なことが連続すると、心が麻痺して焦らなくなるものらしい。

冷静に、自分の置かれている状況を考えていた。

あの二人が、ぶち壊された部屋の壁を、誰もいない部屋を見て何も感じないはずがない。

探して、助けに来てくれないだろうか。


(あれ……？私何で二人が助けに来てくれるって思うんだろう……？)


天月さんに言われたことが頭をよぎる。

不安と恐怖で頭がぐっちゃぐちゃになっていく。

助けて、と言おうとした言葉は、微かに漏れる息の音に変換され、消えていく。







部屋全体が微かに揺れている。

瞼を開けると、瞼を閉じているときとほとんど変わらない暗闇だった。

寝ていたらしい。呑気だな、と苦笑する。

意識が覚醒するのと、手足の痛みで状況を思い出した。

微かな揺れはまだ続いている。耳を澄ますと、小さくだが何かが壊れる音、衝撃音が聞こえた。

何が起きているのだろうか。


　「Aちゃん、起きた？」


唐突に声がした。

声のした方を見ると、96猫さんが立っていた。

彼女の周りだけ薄ぼんやりと光っている。

少し幻想的だけど、それ以上に恐怖を覚える光景だった。


96「ねぇ、何で私たちがあなたをこうしたか分かる？」


少しだけ動く首を、横に振る。


96「そっか。分かんないか。そりゃそうだよねぇ」


彼女はうんうん、と頷く。


96「じゃあ教えてあげるよ」








＿＿あなたが、求血者(アトラクター)だから


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求血者(アトラクター)は私が今作った言葉です

「惹きつける」を意味する「Attract(アトラクト)」にerを付けました

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