【銀魂】ひとりぼっちの化け物達【虚】【吉田松陽】 (ページ11)

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″もしも″の十一ページ11

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「虚様」

名前を呼べば、微笑んで振り返ってくれる。
少し明るい色の髪がサラサラと揺れて、女の私よりも綺麗なのではないはと思ってしまうほど。
まぁ私の場合女(アヒル)と言っても醜い子ですけれども｡
いつもの様に近くまで近づいて座った。

「今日はこの山を散策してきましたよ」

「おお、何か発見は？」

「リスがいましたね。あと…そうそう兎が」

良かった。
動物達とも仲良く出来ているようだ。

「じゃあきっと次はイノシシが突進してきますよ」

「突進ですか」

「突進です」

熱烈な歓迎ですよ。
カラカラと笑うと虚様も笑った。
幸せだ。
誰かと一緒に笑いあって､誰かと一緒に夜を明かして
こんな世間一般様の当たり前が私達には幸せなんだ｡
ソレは悲しいことかもしれない。
でも、幸せなんだ｡

この時間がずっと続けばいい。

「そう言えばAさんは幾つなんですか？」

「えーと、確か十九です」

「大人っぽいですね。もっと上かと思ってました」

「それ、褒めてるんですか？貶してるんですか？」

「とんでもない、褒めてますよ」

「虚様は？お幾つなんです？」

「それはもう数えられない程永く」

「人魚でも食べたんですか」

「八百年で死ねたら良かったんですけどねぇ」

他愛のない話で夜が更けてゆく。
流石は不老不死の化け物様。
色々な話を知っていて。
聞いているだけでとてもたのしかった。
外に出れない私にとって未知の世界の話はやはりひとしおの興味がある。
せがむ私に嫌な顔ひとつせず微笑んで話してくれた虚様は本当に優しい方だと思う。

この時間が永遠に…は私が死んじゃうから無理だけど、せめて私が死ぬまで続きますように。

煌めく星々に願った。