検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:33,695 hit

″もしも″の十四 ページ14

.




…ノック音がする。
きっとお母さんだ。起きなくちゃ。
でも、起きる気が起きない。
いいよね、一日くらい。
のんびり夕方まで寝ていても。
だんだんとノック音が遠のいてゆく。
この浮遊感、嫌いじゃない。

その時ガチャギギぃーと扉の開く音。
同時に訪れる太陽の匂いに意識は無理矢理にも覚醒した。
だって太陽は怖いもの。
布団は光のささない蔵の奥の方に引いてあるからまだ安心だけど。

「お前!縁談を断ったらしいな!誰のお陰で飯を食っていられていると思っているんだ!」

いきなり怒鳴られて胸ぐらを掴まれる。
珍しく私の事が大嫌いなお父さんが来たから何事かと思えば、そんな事か。

「なら、出ていきます」

真っ直ぐ目を見て告げると流石に面食らったのかお父さんは目を丸くして口をパクパク。
魚みたい。

「こ、ここから出てどうやって生きてゆくと言うんだ!この馬鹿者め!」

「どうとでもなりますよ。だって私は化け物の生まれ変わりです。それに例え人の世で生きられなくても…」

その先の言葉を飲み込んだ。
化け物同士でなら笑って暮らせる、なんてこんな薄汚れた人間に言いたくなかったから。

「この縁談が決まれば私達にも金が入る。親孝行しようとは思わないのか!?」

「…お母さん、あなたには(・・・・・)随分迷惑をかけたと思います。更にこんな親不孝迄。
憎んで下さって構いません。でも、これだけは言わせてください。
産んでくれて、ありがとう。」

黙って苦しそうに成り行きを見守っていたお母さんは驚いたように数秒固まったあと、抱きしめてくれた。ほんとうにこの人はいい人だ。

″もしも″の十五→←″もしも″の十三



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (77 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
44人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , , 吉田松陽   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

レイレイン - 素敵な話ですね。とても感動しました。ありがとうございます。 (2021年4月19日 20時) (レス) id: 5a04a92c31 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年4月1日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。