【銀魂】二度目まして初恋の人【高杉晋助】

★ ページ28

.





袋に入った数冊の絵本をちらりと見て、夕暮れの道、隣を歩く春風に聞く。


「お前は本が好きなのか？」

「うん！おれほんすきー。えほんよんでるとね？おかあさんがほめてくれるんだ。『おべんきょうできてえらいね』って」

「字、わかるのか」

「うん。ねるまえとか、まえのいえだとアイツがいないときとかにおかあさんがおしえてくれた！」

「そうか。すげぇなァ」


俺が本を持っていない方の手で撫でると、春風は得意そうに笑った。

Aと春風は、身一つで家を出てきた様だった。
きっとアイツ、とは父親の事で、そしてその父親は生活費を入れなかったのだろう。
その中でAは暴力に耐え、一人で春風を育て上げてきたのだ。

母親というものは、強いのだと。
改めてそう思う。


「……夕飯なんだろうな」

「おれエビフライたべたい」

「いいな。Aに……お母さんにお願いしてみよう」

「うん！しんちゃんはたべもの、なにがすき？」

「俺か？俺ァ……なんだろうな。ヤクルコは好きだが……」

「そっか！しんちゃんはなんでもたべるいいこなんだね！」

「おー……まあ、そうだな。お前の母さんは特に料理上手いからなァ」


夕日が春風の横顔を赤く照らしている。
その、子供らしい笑みに。
こんな日々が、ずっと、続けばいいと思った。

★→←★

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す