【銀魂】二度目まして初恋の人【高杉晋助】

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財布とスマホをジーパンのポケットに入れて、立ち上がる。
絵本を読んでいた春風が顔を上げた。
その顔に不安そうな影がさす。


「……どっか、いくの？」

「ああ、ちょっくら本屋にな…………静かにできるなら、春風も一緒に行くか？」

「え……い、いいの？」

「もちろんだ。ただ、他の人がいる所だからな。静かにするって約束だぞ？」

「うん！やくそくする！しんちゃんとおかいものしたい！」

「ん。ならお母さんに言いに行こうな」


そう頭を撫でて、手を繋ぐ。
少し屈むようにして、指三本をしっかり握っている春風に目を細めた。
あの日、俺に縋って大泣きしたのは、そうか。
俺に出ていって欲しく無かったのか。
そう気がついて、むず痒い気分になる。

ただ、大切にしたいと。
幸せにしてやりたいと、思ってしまう。
こういうのを父性と言うんだろうか。


「おかーさーん！」

「A」

「はーい、どうしたの？」


台所から顔を覗かせたAに、ふと笑みが漏れる。
なんだか、幸せだと思った。
それはその笑みを噛み殺しながら、言う。


「春風を本屋に連れてってもいいか。いい子にするって約束してくれたんだ」

「しんちゃんとほんや！」


Aの目が驚いたように丸くなる。
そして、泣きそうな顔で笑って、春風の頭を撫でた。


「行ってらっしゃい！楽しんできてね！」

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