【銀魂】二度目まして初恋の人【高杉晋助】

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とりあえず、心を落ち着けるために近くの公園を一周して、大きく息を吐いた。
考えれば、居候はあっちなのに俺の方が出て行くというのは甚だおかしい話なのだ。
もちろん二人を追い出す気はサラサラないが。


「……帰るか」


帰って、謝ろう。
怒鳴ってしまって悪かったと。

少し考えればわかった話なのだ。
傷付いたと言ったって、俺はAを見捨てられなかった。
どうしても一緒に住むのが嫌なら、適当なアパートでもマンションでも一室借りてやるくらいの金はある。
だが、それをしなかった。
しようとすら思わなかった。

つまり、そういう事なのだ。


(色恋沙汰は惚れた方が負けとはよく言うが)


俺は負けも負けの惨敗である。
仕方ない。惚れてしまったのだから。
どうしようもないほど、好きになってしまったのだから。


(銀時に知られたら呆れられるんだろうなァ)


信じられないものを見るような目で見たあと、きっと怒鳴られるだろう。
だがそれも仕方の無い事だった。
もう顔もまともに思い出せない親父やお袋のように、自分に嘘を着いてまで幸せに生きたいとは思えなかったし、そんな幸せは幸せじゃねぇとすら思う。

信じようと思った。信じたいと思った。
どうしても嘘だとは思えなかった。
それが全てだ。もうそれでいいじゃないか。
毒を食らわば皿まで、だ。

薄く笑う。
覚悟は決まった。

俺は玄関の前に立つと、大きく息を吸う。


「たでぇま」

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