【銀魂】二度目まして初恋の人【高杉晋助】

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銀時の家……つまり松下村塾近くの、スナックお登勢の2階だが、に行こうとして、やめた。
昨日の今日だ。
もし今の俺を奴が見たら、絶対Aに殴り込みに行くだろう。
それは避けたい。
簡単に殴られてくれるような女では無いのは重々承知だが、流石に……

そこで俺はあれ？と俯いていた顔を上げた。
そうだ、Aは勝気で、勝てないような相手にだって飛びかかっていくタイプだったはずだ。
ちょうど、さっき俺に噛み付いてきたように。
昔はそれで生傷が耐えなくて、心配したものだった。

俺は目の前の小石を蹴る。
変だ、と思うのだ。
昨夜のAは確かに銀時に怯えていた。

やっぱりおかしい。
酷い目にあって、怯えるようになったのならわかる。
しかし、さっき俺に対しては昔の、あの、強い意志を宿した真っ直ぐな目で俺を睨みつけてきたのだ。
俺は昔からあの瞳が好きで……いやいや。


「…………」


俺はもいちど足元の小石を蹴った。
……ずっと信じていたのだ。ずっと好きだったのだ。
Aは他の奴らとは違うと、俺の事を真っ直ぐに見詰めて、微笑んでくれるのはAだけだと。

人を見る目はあるつもりだった。
嘘を着いているかどうかなんて、先生や銀時でも無ければ百発百中で当てられる自信があった。
今でも、やっぱり人の嘘はわかる……と思う。

ゆっくりと歩みを緩める。
もう何を信じればいいのか、なんてわからなかった。
あんな風に裏切られて、まだ信じたい自分がいるのにすら驚きだ。
きっと俺みたいなのを、バカって言うんだろう。

風が吹く。髪を揺らした。
どうせ追い出す気は無いんだ。
なら、バカはバカらしくさっさと腹を括るに限る。


「うだうだ考えんのは、性にあわねぇんだ」

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