【銀魂】私の小さな世界事情【高杉晋助】

妹の軌跡事情 ページ28

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「茜の高待遇を約束してくれ」

Aと井伊家の当主様の交わしたその言葉は。
所詮は大人と子供の口約束。
守られることは無かった。

強いと一目置かれるAが居ないのをこれ幸いと、暴力と暴行の毎日。

でも、と目をつぶる。
お姉ちゃんは私の為に戦争へ行くと決意したんだ。
だったら私だって、我慢しなきゃ。

いつか、いつかお姉ちゃんの手を借りないでも堂々と一人で立って居られるようになりたい。
いつかお姉ちゃんを私が支えてあげたい。
だって大好きなお姉ちゃんだもん。

「なぁ知ってるか？」

卑下た笑みを浮かべながら汚らしい男は言った。

「Aがお前の事を無能な妹だと蔑み、足枷だとため息をついた事」

「うっ、そだ！」

「へっ、じゃあ考えてみるんだな。今のお前を見てAがどう思うか」

「痛いッ……！もう嫌だ……」




そんな日々は、お姉ちゃんが特別警察とやらに行ってからも続いた。
子供は8回出来て、8回とも消えてしまった。

(何で私は……)

こんな場所に居続けているのだろう？
簡単な話だ。
お姉ちゃんに見つけて貰えなくなる。

(そうしたら、もう二度と合えない……)

それだけは、嫌だ。





「茜は無能です。邪魔にしかならないでしょう」

襖の隙間から見える顔は、紛れもない。
十年間近く私を殴ってきた男がニヤニヤと私を見ていたが、そんな事は気にならないほど。

どうして、なんで、なんで裏切るの……？
私、何かした？
お姉ちゃんの事だけを信じて、どんな辛い事でも耐えてきたのに。

「………………殺してやる」

地獄を見せて殺してやる。
復讐だ！
私を苦しめたあの女に復讐するんだ！

一番望まない世界を作ってやろう。
一番望まない結末を用意してやろう。

それがいい。
苦しめて苦しめて、苦しめ抜いて殺してやる。






ああ、ああ。

どうして裏切ったの、お姉ちゃん……

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