【銀魂】私の小さな世界事情【高杉晋助】

土方の胃痛事情 ページ24

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仕事があると席を立った。

窓から赤い陽が伸びている。

話し合いは全くもって実のないものだった。
何が決まる訳でも、何が進展する訳でもなく。
ただただ、平行線。

唇を噛む。
俺とて別にAの腹の子を殺したいなんて思っていない｡
ただ、悔しいのだ。

茜を今までずっと苦しめていた奴が惚れた男との子供を産めることが。
そしてなにより、度重なる堕胎のせいで茜が子供を産めないことが。

「クソッ……！」

ガンッと壁を殴る。

無能と言われたと茜は泣いていた。
ずっとずっと信じていたんだ、とも。
顔も背丈も同じなのに、持って生まれた物が全く違ったから。どんどん開いていく差にも屈せずAを信じていたのに。

そうさめざめと泣く茜を、Aは無能だと切り捨てやがったのだ。

嫌われている理由を知らないだと？
お前が無能だと言ったんだろうが。

そうして深く傷付いた妹を捨てて、お前だけ幸せになろうってのか？

……気に食わねぇ。
今更になって、自分が敵陣に追い込まれてから茜の心配かよ。
笑わせんな。
バレバレなんだ。下心が。

ふと、先刻前に見たAの表情を思い出す。
まるで聖女のような、穏やかな顔。

……あんな顔をする女にそんな酷いことが出来るのであろうか？

思わず止まった足。
何を馬鹿な事を。
それでは茜が嘘を言っているという事に……

…何故、茜が嘘を言ってないと断言出来る？

心臓がドクンドクンと鼓動を響かせる。
何を、馬鹿な事を……
馬鹿な事か？本当に？
考えてもみろ。
あの総悟があんなに懐いている。
それは、Aが最悪な人間ではないという事だ。

しかし、それでは茜が指し示す人物像とあまりにも一致しない。








………総悟を信じるか、茜を信じるか。

過酷過ぎる決断に思わず頭を抱えた。

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