沖田の感情事情 ページ13
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近藤さんの後ろから病室に入ると、土方コノヤローと茜が話していた。
この甘い雰囲気に突っ込んで行けるのは世界ひろしといえど近藤さんくらいなものだろう。
「目が覚めて本当に良かった!トシなんかずっと付きっきりで……」
「こ、近藤さん、それは……」
あからさまに狼狽する土方クソヤロー。
「あれ?土方さんの話ではたまたま私の目覚めた時間と土方さんの看病が重なったと聞いていたんですが……」
ジトっと視線を土方に送る。
嘘はいけない。
嘘は。
「……ほら!総悟も何か言って」
「はい。茜さん、怪我がその程度で良かったですねぃ」
茜はえ?と間抜けな声を上げ、近藤さんは俺の態度の端々で何かを感じたのだろう。
あわあわと視線を泳がせている。
「どういう意味だ、総悟」
「睨まないでくだせぇよ土方さん。
あんたも見たでしょう?ねぇさんの強さを。
そんなねぇさんと対峙してこんな軽傷で生きてられるなんて茜さんが余程強いか、ねぇさんが手加減したか。
どちらかだと思いますがねィ」
その言葉にピタリと動きを止めるとその女は小さく呟く。
「……手加減?」
「そうでさぁ。じゃなきゃ今あんたは生きていやせん。気絶している間に殺されてまさぁ」
「あの女が?私に?」
「ま、殺す価値も無いと判断されただけかも知れませんがね」
それが一番有り得そうだと肩を竦める。
「ふざけるな!あいつにわたしが裁けるか!裁くのは私だ」
「……茜」
土方さんの声にハッとしたように目を見開く。
もう、遅い。
「それがアンタの本性ですかぃ」
「ち、違っ……」
「ねぇさんになりすまして、俺達を騙してた。そんな奴の言葉を信じれるとでも?」
「違う、本当に」
「俺はねぇさんの味方だ。あんたがねぇさんに仇なすと言うのなら、俺は迷わずにてめぇを斬る。
……例え、ねぇさんの本意じゃなかったとしても」
そこまで言いきって、俺は病室を出た。
後ろから近藤さんが俺を呼ぶ声が聞こえるが、今日ばかりは無視。
だって近藤さんも茜の味方だ。
……おかしいだろ。
ねぇさんは真実を知らないまま昏睡状態。
なのに、諸悪の根源はのうのうと生きようとしているんだから。
こんな馬鹿な話はない。
人を見る目はあるつもりだ。
だからねぇさんを信じてる。
そんな信じてる人だけがこんな目にあうなんて、絶対におかしい。
許せないんだ。
だってきっと、俺はねぇさんは事が。
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紫姫(プロフ) - 最後すごく感動しました!!泣いちゃいました (2021年4月4日 13時) (レス) id: c6ba8ff617 (このIDを非表示/違反報告)
あると(プロフ) - 作者名に気付いて驚きました。いくつか読んだことのある作品の作者さんの過去作だとは思わず、何も知らず新鮮な気持ちで一気に読み終えました。まさに今この時期だからこそ、高杉晋助という男が染みました。良い作品でした。素敵な時間をありがとうございました。 (2021年3月18日 15時) (レス) id: ac43156437 (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - この作品のモノローグがすごく好きで、キャラクターも好きで最後は、物凄く泣きました。この作品も、作者さんも愛することが出来ました。感情が消えかかっていた私を泣かせてくれて、この物語に出会わせてくれて、本当にありがとうございました。 (2020年3月15日 21時) (レス) id: 45e0f85ae1 (このIDを非表示/違反報告)
chokone_0519(プロフ) - ここまで一気に見させてもらいました。最後の最後でボロ泣きして、ほんとにいいお話だったと思います。これこらも頑張ってください! (2019年12月19日 21時) (レス) id: c032273e58 (このIDを非表示/違反報告)
両足に傷(プロフ) - 完結おめでとうございます!自分の中ではかなりないた部類なのでこれからもまた繰り返して読むと思いますが...w素晴らしいお話でした! (2019年8月16日 2時) (レス) id: 910dd88300 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2019年6月16日 18時