ひゃくよんじゅうご ページ45
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「せんせー！」
「ん？」
足に縋り付くように見上げてくるまん丸で綺麗な目を見ながら頭を撫でる。
「せんせーって何歳なの？」
「いくつだったらかねぇ……忘れちまったよ」
「え〜、おじいちゃんとおんなじ事言ってる！先生まだ若いのに！」
キャッキャと騒ぐ子供たちに苦笑して、ほら遊んでこいと背中を押した。
素直に走り出す小さな背中を見ながら、そっと目を伏せる。
あの子のおじいちゃんが幾つかは存じ上げないが、きっと俺の方が年上だろうと思う。
随分長い時間が流れた。
江戸は東京になって久しく、いくつもの元号を超えてきた。
老いの兆しは見えない。
それが時折寂しくもある。
「先生見て見て！お花で冠作ったの！」
「おう、上手くできたな。綺麗だ」
「えへへ、でしょ？これ、先生にあげるね！」
「いいのかい？貰っちまっても。こんなに上手く出来てるのに？」
「こんなに上手くできてるから！」
しゃがんで、しゃがんで！と飛び跳ねる少女に笑って、目線を合わせる。
そっと頭の上に被せられた感覚がして、小さな手が離れていくのを見ながら立ち上がった。
「先生似合う！かわいい！」
「そうかい。ありがとうな」
かわいいか、と苦笑を噛み殺しながら頭を撫でると、少女は嬉しそうに笑って友人たちの輪に戻って行った。
静かだった庭が、こんなに騒がしくなるなんて。
昔のように縁側に座って、眺める。
駆け回る少年たち。花壇を見ながら笑い合う少女たち。
全てが輝いているようだった。
「先生」
「ん？どうした」
振り返る。
キリッとした顔立ちの少年は、生徒の中でも一等勉強熱心な子供だ。
いつものように質問か、と微笑むと、少年は言葉を探すように目をさ迷わせた。
「あの……」
「おう」
「本棚から、本をお借りしようと思って。そしたら、一番上の、一番左端の本にこれが挟まっていて……」
黄ばんだ紙だった。
渡されたその紙を、どういう表情で受け取ったかは、わからない。
ただ、どうにか「ありがとう」と絞り出して、微笑み返した気がする。
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soari(プロフ) - コメント失礼します・・！どうして、どうして投票は一度しかできないのでしょうか？可能なら10点を命尽きるまで押し続けたいです。沖田レイア様の高杉を、キャラ愛を強く感じ、脳内に映像が巡り、私は今感動と動揺で死にそうです・・・素敵な作品をありがとうございます (2021年9月30日 23時) (
レス) @page50 id: a5995c2106 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - ユウさん» コメントありがとうございます！！感動して頂けたようでとても嬉しいです！コメント大変励みになっております……ありがとうございました！ (2021年9月16日 22時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 悶絶&号泣でした！晋助様大好きで萌えながら読ませていただきました。その後の話まで書いていただけて嬉しいです。これからも応援させていただきます (2021年9月16日 5時) (レス) id: d7bd017054 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます！僭越だなんて……むしろ応援してくざすってめっちゃくちゃ嬉しいです！超モチベになっております！コメントありがとうございました！！！ (2021年9月2日 23時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 沖田レイア様、コメント失礼致します！本当に本当に大号泣しました、主様の作品は全部全部大好きです。ありがとうございます。神威の方も、引き続き僭越ながら応援させてくださいっ！ (2021年9月2日 2時) (レス) id: ffa5a66e58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沖田レイア | 作成日時：2021年6月2日 0時
