ひゃくよんじゅう ページ40
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門の奥からは子供たちの楽しげな笑い声が聞こえている。
開くのを今か今かと待っていて、いつまでも開かない事に隣を見た。
「……銀さん?」
門に手をかけて、ピクリとも動かず足元を睨み付けている銀さんに、思わず呆れて肩を落とした。
「いやアンタ昨日あんなに偉そうなこと言ってていざとなったらこのザマですか」
「そうアル銀ちゃんのヘタレ!」
「…………」
銀さんはますます眉間の皺を濃くするだけで何も言い返してこない。
いつもだったら一言うと十五くらいで返してくるあの銀さんが、だ。
これはとうとうヤバいぞ、と神楽ちゃんと目を見合わせた。
「あーもう!ほら銀ちゃん行くネ!」
「そーですよ、ほら!」
銀さんの身体を二人でグイグイ押す。
流石というか、神楽ちゃんと僕の全体重をかけた押し出しにもしばらく耐えていたけれど、数秒の後、ずり、と動いて、門を開いて行く。
銀さんは諦めたように歩いた。
「よォ、ひでー顔だなァ銀時」
銀さんは弾かれたように顔を上げる。
門の先で高杉さんがニヤリと悪い顔で笑っていた。
そして銀さんは高杉さんの顔を見ると顔を歪めた。
左腕で顔を抑え、着物の裾で目頭を押したまま、静かに肩を震わせる。
高杉さんは困ったように微笑んで、諭すように言った。
「しけた面は、もうすんなっつったろ」
「うるせー……嬉し涙だ馬鹿野郎……」
銀さんはひとつ鼻を鳴らすと乱暴に涙を拭うと充血した目で高杉さんを睨みつけた。
「せんせー、この人たちだれー?」
「ん?この人たちはなぁ、今日遊びに来てくれたんだ。後で遊んで…………ってなんだ銀時。俺が先生って呼ばれるのが泣くほど嬉しいのか?」
「う゛る゛ざい゛、ばが」
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soari(プロフ) - コメント失礼します・・!どうして、どうして投票は一度しかできないのでしょうか?可能なら10点を命尽きるまで押し続けたいです。沖田レイア様の高杉を、キャラ愛を強く感じ、脳内に映像が巡り、私は今感動と動揺で死にそうです・・・素敵な作品をありがとうございます (2021年9月30日 23時) (レス) @page50 id: a5995c2106 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - ユウさん» コメントありがとうございます!!感動して頂けたようでとても嬉しいです!コメント大変励みになっております……ありがとうございました! (2021年9月16日 22時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 悶絶&号泣でした!晋助様大好きで萌えながら読ませていただきました。その後の話まで書いていただけて嬉しいです。これからも応援させていただきます (2021年9月16日 5時) (レス) id: d7bd017054 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます!僭越だなんて……むしろ応援してくざすってめっちゃくちゃ嬉しいです!超モチベになっております!コメントありがとうございました!!! (2021年9月2日 23時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 沖田レイア様、コメント失礼致します!本当に本当に大号泣しました、主様の作品は全部全部大好きです。ありがとうございます。神威の方も、引き続き僭越ながら応援させてくださいっ! (2021年9月2日 2時) (レス) id: ffa5a66e58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2021年6月2日 0時