検索窓
今日:19 hit、昨日:0 hit、合計:28,479 hit

ひゃくにじゅうきゅう ページ29

.





コトリ、と湯呑みを置くと、彼は本から顔を上げてにこりと笑った。


「ありがとう」

「いえいえ、休憩なさるなら茶菓子も持って来ましょうか?」

「いや、うん。そうだな、頼む」


少し悩んで本を閉じた彼に笑いながら、戸棚の干菓子を出して、皿に乗せる。


「どうぞ」

「干菓子か、うめぇよな」

「ふふっ、最中と羊羹の次くらいにはお好きでしょう?」

「……よくわかったな」

「見ていれば分かります」

「はは、こりゃ参った」


晋助さんは嬉しそうに苦笑すると、干菓子を一欠片口に入れた。


「なんだか皆さんが帰ってしまうと途端に寂しくなりますね」

「あいつらは賑やかすぎるくらいに賑やかだからなァ」

「いい事です」

「……ま、悪くはねぇさ」


彼は優しく目を伏せて、そっと私に手を伸ばした。
不思議に思いながらもその手に手を重ねると優しく引かれて、大きな胸にすっぽりと収まる。
心臓の音が、トクリトクリとすぐ近くでなっていた。


「……このまま溶け合って……ひとつになれたらいいのになァ」


寂しげな声が耳元で聞こえて、私はゆっくり顔を上げる。揺れる翡翠の瞳と目が合って、口と口が合わさった。そのまま体重を掛けられて、優しく畳に縫い付けられる。
天井をぼんやりと見ながら、首筋に当たる唇と吐息がくすぐったくて身を捩った。

ひゃくさんじゅう→←ひゃくにじゅうはち



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (75 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
171人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 高杉晋助 , 高杉オチ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

soari(プロフ) - コメント失礼します・・!どうして、どうして投票は一度しかできないのでしょうか?可能なら10点を命尽きるまで押し続けたいです。沖田レイア様の高杉を、キャラ愛を強く感じ、脳内に映像が巡り、私は今感動と動揺で死にそうです・・・素敵な作品をありがとうございます (2021年9月30日 23時) (レス) @page50 id: a5995c2106 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - ユウさん» コメントありがとうございます!!感動して頂けたようでとても嬉しいです!コメント大変励みになっております……ありがとうございました! (2021年9月16日 22時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 悶絶&号泣でした!晋助様大好きで萌えながら読ませていただきました。その後の話まで書いていただけて嬉しいです。これからも応援させていただきます (2021年9月16日 5時) (レス) id: d7bd017054 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます!僭越だなんて……むしろ応援してくざすってめっちゃくちゃ嬉しいです!超モチベになっております!コメントありがとうございました!!! (2021年9月2日 23時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 沖田レイア様、コメント失礼致します!本当に本当に大号泣しました、主様の作品は全部全部大好きです。ありがとうございます。神威の方も、引き続き僭越ながら応援させてくださいっ! (2021年9月2日 2時) (レス) id: ffa5a66e58 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:沖田レイア | 作成日時:2021年6月2日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。