三十四日 ページ34
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家について、私は送ってくれた晋助にお礼を言おうと振り返る。
と、少し厳しい顔をしていてなんだろうと目を瞬かせた。
「……?晋助?」
「……A、いいか?昨日みたいに男と一緒に風呂に入ろうとしちゃあダメだぞ。もう子供じゃねぇんだ。男は皆狼だと思え」
真っ直ぐに叱る緑の目から目を逸らして口を尖らせる。
「……晋助たちは狼じゃないもん……」
「そうかもしれねぇが……でも駄目だ」
私はさらに唇をとんがらせて黙った。
不利だし、晋助の方が正論なのはわかってる。
けど……
晋助は合わない目線を合わそうと屈んで私の目を覗き込んだ。
「な?ん?」
少し困ったようにそして優しく諭すように薄く笑って首を傾げる。
その姿は初めてあったあの頃から変わってないくて。
私はそう、この吐息のような「ん?」に死ぬほど弱いのだ。
観念して目を見つめ返す。
晋助は嬉しそうに目を細めた。
「わかった……」
「ん。いい子だ」
晋助は立ち上がるとポンポンと頭を撫でる。
気持ちよくて、見上げてにへらと笑うと、晋助も笑顔を返してくれた。
「……でも!でもみんなは狼じゃないからね!」
「……んー……まあ、信用されてんのは悪い気はしねぇがな……及第点ってところか」
「なんの及第点よ」
「いや、俺たちだって男ってことさ。だがま、俺たち以外の前では絶対駄目だからな」
「もー!だからそんなチョロくないって!」
「どうだか」
晋助はくすくすと笑うと帰るわ、背を向ける。
その背中にまたねー!と手を振る。
ひらりと手を振り返して、彼は歩いていく。
その背中にボソリと呟いた。
「もう少し、狼になってもいいんじゃないかなぁ、晋助は」
私が無防備になって隙を見せる意味を、もっと都合よく解釈してくれたっていいのに。
「ほんっと、硬派な人……」
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美結菜 - とても面白いです!続き楽しみにしています! (2023年2月10日 18時) (レス) @page49 id: f842e5f119 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 神谷さんさん» 神、以外の言葉が思いつきません……神谷さん神様ァあああ!!ありがとうございますぅううう! (2021年8月24日 0時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
神谷さん - 捨てるわけないっすよ!!!私も読書感想文書かなきゃですよ!仲間ですね!()健全な高校生の高杉くん、ものすごく好きです!次回作に期待してますよ!愛してます! (2021年8月23日 22時) (レス) id: 9406ab1259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2021年1月3日 0時