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よんじゅうななにん ページ16

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「__ッ!いや!嫌!やっぱり死にたくない!おねがッ……助けて……!」


這いずって足を掴んでくる女に高杉はため息をついた。
しゃがみこんで目線を合わせてやる。
確かに昔は美人だったようだが、目鼻立ちは良くても今や肥え、たるみ、老け、さらにそれを隠そうとした厚い化粧が涙や鼻水で流れ。
最早一種の化け物のようになっていた。


「わかったよ……ほら、息を吸え、そう。そして吐いて……」


そうして男の言う通り深呼吸をした女は、段々と上げていた上半身が下がり、ついには床に崩れた。
だが、足を掴んで手だけは相も変わらず力が強い。
高杉は苦笑した。
人間の、生に対する執着の強さは知っていたつもりだったが、まさかこんな形で表れる人間がいるとは思っていなかったようだった。

高杉は苦心して手を外すと、辺りを見回す。
ゴミ袋や脱ぎ捨てられた服の山の中からどうにかチラシとペンを引っ張り出す。
ゴミ屋敷の中、床が見えず、仕方なく壁に抑えて

女に飲ませたのがただの睡眠薬である事。
結局本心では死にたくないと思っている事。
部屋を掃除して、要らないものを売って、安アパートに住んで、働いて、真面目に金を返すべきだという事。
それから、その化粧をやめて、年相応の化粧にすれば、新しい出会いの一つや二つ不可能ではない事。

を書いた。

そしてそれを女の手に握らせると、男は部屋を出た。
生きたいと言った。
それでいいと高杉は笑った。


(たばこでも)


吸うかね、と男は屋上へ向かう。







そうして、死にたい少女と、命を『使う』男の物語が始まるのだ。



「お前、死ぬつもりだろう」

「えッ」

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(プロフ) - 沖田レイアさん» 返信ありがとうございます!裏話聞けて嬉しいです!!また読みたくなったら読みにこさせていただきますね。ありがとうございました! (2021年2月25日 23時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 鈴さん» 細かい考察、解釈ありがとうございます!裏話というか蛇足というか……一作目はキラキラした死、二作目は死によって残された人々の苦悩痛みその上で前を向かなければ行けない悲しみ……三作目(今作)ではそうなってしまった経緯を書きました! (2021年2月25日 18時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 鈴さん» コメントありがとうございます。”死”や”救い”、”安楽死”などをテーマとした重く暗い今作をお読み下さり、なおかつ深い考察までして頂いて本当に嬉しいです!最終的に皆死ぬという鬱展開作品にお付き合いいただき本当にありがとうございました!!! (2021年2月25日 18時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - うまく文章にできなくてすみません!言いたいことは!ひとつ!この作品面白くて大好きです!素敵な作品をありがとうございました!!┏○ペコッ (2021年2月25日 17時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 特に印象に残った言葉「救いに正解はないと気付いてしまった」にこの作品の高杉さんの根源にあるものに触れられたように感じます。医者の過重労働も医療現場の壮絶さも伝わってきたコロナ禍に合った作品に感じます。 (2021年2月25日 17時) (レス) id: 186341d011 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年12月24日 11時

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