04匹 :悪党 ページ5
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資料室から部屋へ戻ろうと廊下で車椅子を漕いでいると、神威と阿伏兎が角から現れた。
いつも笑顔の神威が三割増でニコニコしているので何かあったのかと首を傾げて声をかける。
「おかえり。会食はどうだった?」
「ただいま。面白いことになりそうだよ」
「それって面倒事じゃないでしょうね……まあ、いいわ。何があったの?」
神威は目をキラキラとさせながら、その純粋な瞳で物騒な事を喋り出す。
「サムライと殺り合えることになったんだ!」
「サムライって言うと……あんたが言ってた鳳仙を殺した奴らの事ね。なるほど、それは楽しそう」
私達の師である元第七師団団長、夜王鳳仙。
一線を退いたとはいえ強大な力を持つあの男を殺したのは夜兎に比べれば随分ひ弱な生態の、サムライという人間達だと言う。
その時は私は船の整備で残ってて、阿伏兎と神威……あと、誰だっけもう一人……まあいいや。その三人は鳳仙に会いに行っていたのだ。
いや一応元上司兼師匠なんだから助太刀しろよ……とは一瞬思ったが神威がそんな殊勝な事するはずもなく、もっといえばあの夜王がこんな小僧に助太刀される事なんか許すわけないので、まあ結局結果は変わらないのだろうと思うけれど。
というか何より神威と鳳仙の戦闘を止めたという阿伏兎の義手作る方が費用も手間もかかったのだ。
ホント、今後はマジで御遠慮願いたい。
ただでさえ
閑話休題。
「……なるほど。つまり用済みのキヘイタイって奴らを殺す訳ね」
「そう。頭の……確かタカスギシンスケ!今から死合うのが楽しみだな〜」
珍しく楽しそうに語る姿に、そんなに骨のありそうなやつなのかとこちらまで楽しみな気持ちになる。
神威の勝負に手出しするほど命知らずでは無いので横取りはしないが、機会があったら私もお相手願いたいものだ。
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アリア(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!テスト頑張ってください! (2021年6月10日 23時) (レス) id: 500f657705 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年10月30日 0時