33匹 :血道 ページ34
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「ただいま」
「あれ、はやかった……ね……」
「んー、あんまりご飯も美味しくなかったしこれならAの作ったのが食べたいなって……」
「いや、ちょ、そうじゃない!」
丸い目をさらに丸くしてきょとんと首を傾げる馬鹿に盛大なため息をついた。
「なんであんたは血だらけなの!」
「これ?飯屋行ったら隣に座った女がウザくてさ。殺しちゃった」
「もぉ、このバッ、バカ!後ろを見てみろ!」
えー?と振り返る神威。
真っ赤に濡れた神威からは血が道を作っており、その血を辿ってきたであろう現地民と思われる男達が百人居ないくらい、各々武器を持って立っていた。
「ありゃ、血の匂いで鼻が効かなかったから気が付かなかった」
どんな殺し方したんだよ、と頭を抱える。
まあこんなに濡れるくらいだ。きっとその女は原型も留めていないに違いない。
これは面倒な事になるぞと恨めしげに神威を見る。
「面倒ごとは起こすなって言ったじゃん……」
「はは、自分のケツくらい自分で拭くさ」
「あ、ちょっ!」
笑顔で拳を固め、男共の中に突っ込んでいく背中に慌てて声をかけるも、一度スイッチが入ったら、奴は止まらない。
「ねぇさんの仇ッ!」
「はは、殺される方が悪いんだよっ!」
そう言って大きく振りかぶると力いっぱい先頭の男を殴った。
殴られた男は頭蓋骨を鈍い音を立てながら変形させて、そのまま壁に叩きつけられる。
廊下の壁に、クレーターのようにめり込みながら血をまき散らして絶命した男に、他の仲間たちは理解が追いつかないのだろう。
ぽかんとした顔でその光景をじっと見つめていて、そして武器を放りだした。
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アリア(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!テスト頑張ってください! (2021年6月10日 23時) (レス) id: 500f657705 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年10月30日 0時