31匹 :背後 ページ32
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他愛のない話をして通話を切る。
車椅子の背もたれに息を吐きながら背中を預けた。
「何の話?」
「ぎゃああああ!!!」
いきなり耳元から聞こえた声に驚いて肩を跳ねさせる。
慌てて振り向くと、そこにはいつものようにニコニコと笑った神威。
「び、びっくりさせないでよ」
「あはは、気付かない方が悪い」
そうかもしれないけど、と口ごもる。
いや
「で、誰と何の話してたの?」
「河上万斉と仕事の話」
「あー、晋助んところの」
「うん」
「ふーん、そっか」
私が頷くと神威は途端に興味を失ったようにおざなりに返事をした。
そっかってなによ、と少し眉を上げると誤魔化すように笑う。まったく。
「で、なんの用?」
「別に?特に用は無いけど」
「気配消してまで近づいてきたのに?」
「気配消してまで近づいたのに」
何がしたいのか、と探るように見つめるも、本当に驚かせるつもりだけだったらしく、私の目を見つめ返してこてんと首を傾げた。
神威は誤魔化すことは上手くても、嘘は苦手なのだ。
「変な神威」
「はは、後で闘技場な」
「やめてよ今怪我したら面倒くさい」
「なんかあんの?」
「物資調達!」
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アリア(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!テスト頑張ってください! (2021年6月10日 23時) (レス) id: 500f657705 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年10月30日 0時