02匹 :支度 ページ3
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心の中で私はあんたの所為で安眠を妨害されたけどね、と悪態をつきつつ、起き上がった男、神威に習ってどうにか体を起こす。
「……おはよ……」
「はは、すっごい眉間のシワ」
「誰の所為よ……」
結んでいない黒髪がだらりと垂れ、緩やかなうねりが素肌を滑る。
一番眠い瞬間に叩き起された私の不機嫌な声にもニコニコと笑っている
「だああ!もう喧嘩してんじゃねぇ!てか服を着て寝ろこのスットコドッコイ共!」
「阿伏兎……朝からうるさい……」
「俺もAも下は履いてんじゃん」
「上半身も着ろって言ってんの!特にA!お前そんな乳丸出しで嫁の貰い手がなるなるぞ?」
「だから……エクスクラメーションマークが多いってば……」
薄目しか開けられないながらとりあえず服をきるべく移動しようと手に力を込めると、神威によって投げられた着替えが顔面にヒットする。
「……ありがと」
投げられて、あまつさえ顔面に当たったが取ってくれたことには変わりないので、渋々礼を言った。
神威はそれににっこりと笑みを返すと、ベットから降りて自分も着替え始める。
寝起きで回らない頭で私もどうにかのそのそと着替え、神威が阿伏兎に髪を結んでもらっているのを後目にベットの縁まで移動する。
車椅子を掴むと、するりと滑り込むように乗った。
夜兎である事は便利だ。
腕の力が強いから、簡単に体を持ち上げられる。
「阿伏兎、神威が終わったら私も髪やって」
「へぇへぇ、たっく……」
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アリア(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!テスト頑張ってください! (2021年6月10日 23時) (レス) id: 500f657705 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年10月30日 0時