19匹 :感激 ページ20
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まず、それは見た目から違った。
ツヤツヤと光る白米。
こんなに白くてふわふわなものは見たことが無い。
だいたいうちで食べるのは黄ばんだやっっすい米だ。
あの味のしないパサパサでもっさもさの米とは違い、しっとりと柔らかく香り高い。
「米だけで箸が進む……」
「ね、うまいだろ?」
「うん……お米ってこんなに美味かったんだ……」
「お前らの食生活どうなってんだ」
目をキラキラさせる私に高杉の怪訝そうな声。
私は口の中の米を飲み込むと答えた。
「どのくらい食べると思ってんの。高い米買ってたらすぐに破綻する」
「いやでも流石にあれは不味すぎるよ。俺たちの料理ってまず米の味を消す為に何を入れるか考える所から始まるじゃん」
「一番安い米だからね」
芋でもいいのよ、私は。と言うとそこまで芋が好きでは無い神威は口を尖らせる。
もちろん私だってあの米はどうにか改善したい。
美食家では無いが、美味い不味いだったら美味い方がいいのは当然だろう。
でも、だ。
出納帳を見てもらえばわかるけど、実は本当に他を切り詰めて食費に当てていたりする。
いわゆる必要経費と必要積み立て以外はギリっギリまでカットしているし、なんなら値切りも厭わない。
でも、それでも。
「普通の夜兎の何倍も食べるのよ、私達二人……ッ」
「……お前さんも苦労してんだな……」
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アリア(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!テスト頑張ってください! (2021年6月10日 23時) (レス) id: 500f657705 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年10月30日 0時