16匹 :人為 ページ17
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「そういやァお前さんのその足。一体どうしたんだァ?」
「デリカシーって言葉知ってる??別にいいんだけどさ……」
初対面(厳密には違うけど、ほとんどそうでしょ)の人にそういうデリケートそうなこと聞くか?普通、と眉を寄せる。
が、特に地雷な話題という訳でもない。
「昔にザックリいかれちゃったから、感覚はあるけど力が入らないのよね」
私はズボンを膝まで上げて、ほらこれ、と傷痕を見せる。
阿伏兎が慌てて年頃の娘が……とか言ってきたがジロリと睨みを効かせて黙らせた。
少し抉れて色の違う真一文字の傷口をまじまじと見つめる高杉に笑って神威は口を開く。
「だからAは立てないんだ」
「ほぅ、それで車椅子か」
「うん。まーある程度改造してるとはいえあんまりに酷い段差とかは上がれないから、ぶっちゃけ邪魔になることも多いけどね」
ほんっと不便、とむすくれると、高杉が膝立ちは出来ないのか?と首をかしげた。
「出来ないことは無いけど……死ぬ程痛いからやりたくない」
「コイツは膝の皿、抜かれてるんだ」
神威の言葉に高杉の目がきゅうと細められる。
「なるほど。通りで傷跡が綺麗に直線な訳だ」
からかったような口振りに、私はべぇっと舌を出した。
この話はこれでおしまいとばかりにそっぽをむくと、二人はやっぱり笑って話を変えた。
変な所で空気読むの、腹立つんだよもう!
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アリア(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!テスト頑張ってください! (2021年6月10日 23時) (レス) id: 500f657705 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年10月30日 0時