11匹 :空席 ページ12
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春雨から抜けて、二週間ほどが過ぎた。
新たなビジネスパートナー(しかも絶対前より有能)をゲットし、船も治し、ようやく事態は落ち着きつつある。
そんな中、私は書類を片付けながら不服に口を尖らせていた。
神威は余程高杉晋助を気に入ったのか、同盟を結んでからこっち鬼兵隊の母船に入り浸っているのだ。
まあ、正直面白くない。
別に恋人でも夫婦でもないのだから奴の行動を縛ることなんてできないし、そもそも自由行動しかしないし、アイツ。
問題は無い。
むしろヤツがいない方が予定調和で順調に進むくらいだ。
私はペンを持ったまま、腕を伸ばして後ろに反った。
体重が移動して、車椅子がギィと音を立てる。
軽く肩をほぐしながら机の上に積み上げられた資料に手を伸ばした。
(……ただ、つまらない)
予定をぶっ壊されることも無いし、構ってコールで仕事を妨害されることもない。
そりゃそうよ。何日も会ってないんだから。
(……私も鬼兵隊、行ってみようかな……)
だってさすがにこうも放って置かれると、寂しい。
私だって一応扱いは幹部級、自由に船を行き来する権利くらいあるだろう。
女だ車椅子だ馬鹿にしてくる奴はアレだ。実力を持って示すか無視すればいい。
緊急じゃないし、なんなら私の独断で決めたって怒られないような書類だけど、これを神威に確認してもらう体で行こう。そうしよう。
ついでに鳳仙を殺したサムライとやらの見学も。
そうと決まればすぐ行動。
私は書類を集めると神威を探すべく部屋を出た。
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アリア(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!テスト頑張ってください! (2021年6月10日 23時) (レス) id: 500f657705 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年10月30日 0時