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ぽたぽたと垂れる汗を拭って、瓦礫に座った。
随分涼しい季節のはずなんだけどな、と思いつつ、重労働でこった肩をとんとんと叩く。

ふわりと、何処からか金木犀の甘い匂いが流れてきた。
なるほどこの瓦礫の中でも木は花を咲かせるものらしい。


「たくましいねぇ……」


そりゃ、人間もか、と笑った。
あの最後の戦いのあと、まだ一ヶ月経ってない。
町は瓦礫に溢れ、復興の見通しは立っておらず。
それでも、笑って前を向いているんだ。
むしろ恐ろしいくらいのタフさだと思う。

汗を拭いつつ、上を向くと、底抜けに青い空。


「……高杉……」


俺の手の中で死にやがったとある悪友。
骨すら残さず逝っちまいやがった。
薄情な野郎だ。
ま、アイツらしいっちゃアイツらしい。


「そっちは楽しいかい」


声は、底無しに青い空は吸い込まれてゆく様だった。


「こっちは……まあ、何とかやっていくさ」


それでも、誰に届いていなくても構わない。


「どうせ俺達ァ地獄に行くほかねぇんだ。気長に待っててくれや」


なあ、高杉。

る→←て



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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年10月10日 1時

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