よよし ページ44
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「ぐぁっ」
電撃が走ったような衝撃に思わず体を反らせて天井を仰ぐ。
壁を青い閃光が稲妻のように走った。
緊張から開放された体は足元から崩れ落ち、うるさいくらいの息をゼェゼェと吐き出す。
「くっ……そがッ!」
必死で顔を持ち上げるのが精一杯の自分に心底嫌気がさして顔を歪める。
ともすれば呑まれそうな意識をどうにかつなぎ止め、また、立ち上がる。
『ニクい、にクい』
『いヤダ、嫌。消えタクなイ』
『ヤメて、ヤめテ』
立ち上がらない訳には、いかなかった。
ふらつく足を、叱咤しながら一度力を抜いて。
「……ぁぁああああッ!」
持てる力の全てを、ここに込める。
『殺しテやる』
『滅ボシてやる』
『終わらせてやル』
「あぁ……天導衆共を、俺達の仇を」
ごうごうと名も無き神々と同調した俺の神気が辺りに轟いている。
心は、凪いでいた。
「『祟っテやる』」
ドン!と衝撃波が辺りを揺らす。
それは、天導衆をきちんと祟り殺せている事を意味していた。
ずぶり、と足から沼に引きずり込まれているような感覚を熱に浮かされたような体で感じている。
(出な、ければ……)
この家を、壊してしまう。
ふらふらと玄関まで歩き出す。
もう胸の辺りまで沼に浸かっているようだ。
(A……A、A……)
朦朧とする意識の中、あの美しい娘の笑顔が思い出される。
ああ、ああどうか。
どうか幸多き人生を。
(A……)
どぽんと、頭まで埋まった瞬間、扉を開けた。
「荒御魂となった大口ノ神よ……この結野晴明が昇華する」
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美結菜 - とても面白かったです!完結おめでとうございます!沖田レイアさんの作品は全部見ました。とても好きです! (2023年2月11日 23時) (レス) @page50 id: f842e5f119 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - うわああああ好きぃ...素敵な作品ありがとうございました!! (2022年11月27日 21時) (レス) @page50 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 小鳥遊。さん» そう言って頂けて嬉しいです!(国語の成績は5では無いっス……)愛してくださってありがとうございます!笑 (2020年11月24日 0時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊。(プロフ) - はァァァ今まで見てきた中で一番綺麗な終わり方ァァァ…絶対国語の成績5…愛してます… (2020年11月23日 23時) (レス) id: f219b8854f (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 小鳥遊。さん» ぐへへ……ありがとうございます! (2020年11月20日 18時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年10月4日 7時