さとし ページ34
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すぅすぅと柔らかい吐息をたてて眠る娘をじっと見つめる。
そふぁあと呼ばれるふかふかの腰掛けに横になり、毛布に包まる姿は、普段よりも幾ばくか幼く見えた。
頬に落ちていた髪をひと房耳にかけてやると、擽ったそうに、ん、と息を零す。
それが溢れるほど愛おしくて、思わず頬が緩む。
優しく数回頭を撫でると、ひとつ息を吐いて立ち上がった。
月明かりも無い新月の夜は、人には暗いかもしれないが、獣の目を持つ己には充分過ぎるほど明るい。
瞳孔がきゅうと開くのが自分でもわかった。
夜は好きだ。
己の色が夜に紛れるからかもしれぬし、単純に狼が夜に行動する生き物だからかもしれない。
だが、多分違う理由で夜が好きだ。
それはきっと、この言い知れぬ孤独感なんだろうなとぼんやりと思った。
どあと言ったか、外と内を隔てる重い扉を開けると、昨日の雨のせいか、まだ少し湿った匂いがする。
だが、昼間の晴天の名残か、星が綺麗だ。
思わず目を細めた。
そんな感慨を邪魔するように、チリンと向けられた錫杖が音を立てる。
首筋に向けられたそれにはなかなかの霊力が込められており、さすがは結野家だと口元を歪めた。
「随分とご挨拶じゃねぇか。結野晴明?」
「ふん、物の怪に名を言われるとは気分が悪いのう。
ノコノコと現れたのが運の尽き。……貴様はここでわしが消す」
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昨日寝落ちすみません!
なので今日は二本投稿でっす!
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美結菜 - とても面白かったです!完結おめでとうございます!沖田レイアさんの作品は全部見ました。とても好きです! (2023年2月11日 23時) (レス) @page50 id: f842e5f119 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - うわああああ好きぃ...素敵な作品ありがとうございました!! (2022年11月27日 21時) (レス) @page50 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 小鳥遊。さん» そう言って頂けて嬉しいです!(国語の成績は5では無いっス……)愛してくださってありがとうございます!笑 (2020年11月24日 0時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊。(プロフ) - はァァァ今まで見てきた中で一番綺麗な終わり方ァァァ…絶対国語の成績5…愛してます… (2020年11月23日 23時) (レス) id: f219b8854f (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 小鳥遊。さん» ぐへへ……ありがとうございます! (2020年11月20日 18時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年10月4日 7時