き ページ6
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「……あの、晋助様、これ……」
「んだ?……キセル?」
また子からおずおずと差し出されたキセルに、小首を傾げつつ受け取る。
「あの、その、今日がお誕生日だと聞いたんで……先輩方と一緒に選んだっス」
ああ、と頷く。
そういえば今日は誕生日だったか。
「……こりゃあなかなか高かったんじゃねぇか?」
渡されたキセルをクルクルと回して見ると、材質も堀も、高級な物だ。
ある程度は給料を渡しているとはいえ、まだまだ金の足らねぇ小さな組織だ。
そう簡単に買えるものでは無い。
「先輩方にも出してもらって……だから、それは鬼兵隊一同からっス」
「……そうかい。ありがとうなァ。ちょうど新調しようと思ってたところだ。嬉しいよ」
微かに微笑むと、それを見たまた子は顔をぱあっと綻ばせ、満面の笑み。
素直な感情を顔に出すところが、微笑ましい。
「あ、私今日は厨当番なので、頑張って美味しいもの作るっスね!」
「ああ、楽しみにしてらァ」
失礼しまっスと元気よく頭を下げ、厨の方に走っていくまた子に、転ぶなよと苦笑しつつ、変だなと首を捻る。
また子に貰った新しいキセルを手持ち無沙汰に煽りながらぼんやりと窓から見える街の景色を眺める。
(俺ァ誰にも誕生日を伝えてねぇ筈なんだがな)
コンコンと壁をノックする音に振り向けば、万斉が書類を持って立っていて。
「まとめてきたでござるよ」
「あァ、ご苦労」
差し出された書類を受け取って、ざっと確認する。
まあ、万斉のことだ。
特にミスはねぇと思うが。
「……そういや、よく俺の誕生日を知ってたな」
「おや、また子が言ったでござるか。全く、自分からだけのプレゼントと言ってしまって良かったものを。素直な娘でござる。ちなみに情報は武市殿から」
「そこがアイツの長所だろ。……そうか、武市か……」
「……そんな子供を死地になど送るから、鬼と呼ばれるんでござろう」
きゅうと目を細めて書類から顔をあげる。
最近からかけ始めたサングラスのせいで上手く感情の読めない万斉の目を見ながら、嗤った。
「お前も、同じ穴のムジナだろう。万斉」
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沖田レイア(プロフ) - まめさん» まめ様!ありがとうございます!今日はみんなで晋助様のお誕生日をお祝いしましょう! (2020年8月10日 17時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 凄く高杉さんへの愛を感じました。。 泣きました。とても良い作品をありがとうございます! (2020年8月10日 11時) (レス) id: 857664c7be (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - Sakura様……!なんと早いコメント……!ありがとうございます!すごく嬉しいです! (2020年8月10日 0時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
Sakura(プロフ) - めちゃめちゃ感動しました…!!!!!素晴らしい作品をありがとうございますッッ (2020年8月10日 0時) (レス) id: 321ab1938b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年8月10日 0時