百四十二匹 ページ42
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おうのさんを慰める晋助様の元へ。
お二人の別れを邪魔するのは気が引けるけど、やっぱり礼儀として挨拶はしておかないと。
「晋助様」
「ああ、A」
懐から顔を上げないおうのさんの背を優しく擦りながら、少し困ったように笑った。
「うののこと、頼んだぞ」
「もとより、そのつもりです」
全く、お飾りとはいえ妻に愛人を頼むなんて。
相変わらず、悪趣味な人ですねぇ。あなたは。
「万斉、アレを」
「わかってるでござる」
手の離せない晋助様に変わって、万斉くんがずいっと私に三味線を渡してきた。
ええと、これはいつも晋助様が使ってらっしゃった高級三味線……?
「餞別だ。お前にゃ世話になったしなァ」
「……まさか自分の紅木金細が持てる日が来るとは……人生何があるかわからないものですね」
昔の、まだ晋助様に出会う前の自分に教えてやりたいくらいだ。
人生意外と波乱万丈で、あんたはいつか三百万円する三味線の持つ事が出来るんだよ、と。
「この三味線に恥じないように、私も腕上げて待ってますね」
「は、そりゃあ楽しみだ」
ギュッと三味線を抱きしめる。
私は彼を愛した。
彼も私を愛した。
その愛は、恋愛ではなかったけれど。
確かに唯一無二だった。
「……晋助様」
真っ直ぐに見詰める翡翠の玉が、優しく輝いている。
私達が添い遂げる道は死より他に無いし、もっと悪い事に、二人ともその道を選ばない。
ここで、笑って別れるだけ。
「今までありがとうございました」
「……ああ」
風が吹いている。
近づく夏の匂いがした。
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沖田レイア(プロフ) - あかねさん» ありがとうございます!! (2020年10月30日 22時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 大好きです! (2020年10月30日 19時) (レス) id: 8fe1bbaad8 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - 夜遅くに失礼します。 続編と同時進行で見ているのでだんだんと話が繋がってきてわくわくしています! 高杉さんとの関係がとても綺麗でとても好きです! 体調に気を付けて更新頑張って下さい! (2020年7月29日 0時) (レス) id: 857664c7be (このIDを非表示/違反報告)
夢逢 - 夢主料理の下手さにとても笑いました。本当に面白いですね!また子ちゃん優しいですね。ギャグも大好きです!沖田君の登場楽しみにしています。続きも頑張ってください。応援してます。 (2020年7月10日 14時) (レス) id: d1c06098b7 (このIDを非表示/違反報告)
沖田レイア(プロフ) - 夢逢さん» コロナウイルス減らないですね……負けないように頑張ります!170cm組かぁ……沖田は続編には出ると思います。ただ三人の絡みは無いかも知れません……170cm組大好きなんですけどね、なかなか…… (2020年7月1日 19時) (レス) id: b13dceedcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年6月13日 3時