【銀魂】もずのめ【高杉晋助】

百四十匹 ページ40

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「知ってます？飼われていた鳥は、野に放たれても直ぐに死んでしまうんです」


茶目っ気たっぷりに言うと、彼も少年のように笑って言った。


「でもお前は、俺の為に生きてくれるんだろう？」

「……ええ、そうでしたね……」


今度は私が苦く笑う。
この世界は残酷で、失いたい訳じゃないけど、いっその事私から全て奪ってくれれば憎めるのに。
中途半端に与えて、中途半端に奪って、中途半端に残していく……
だから憎みきれない。
私にはまだ、大好きなおうのさんが居るのだから。


「……そうですね。ならば、力の限り飛んでみせましょう。自由なこの空を」

「そうしてくれ」


一歩踏み出して、縁に手をつく。
青い空は、何処までも広がっていた。

私は微笑んで振り返る。


「そうして、あなたの帰りを待っていますよ」


晋助様眩しそうに目を細めた。


「……俺は」

「ええ、わかってます。死ぬおつもりでしょう？」


彼は静かに頷く。
誤魔化しもしない所がこの人らしい。


「でも、前に約束したじゃありませんか。万が一うっかり生き残ってしまったら、私の三味線をもう一度聞きに来ると」


晋助様は驚いたように目をパチパチと二回瞬かせ。
泣きそうな顔で微笑んだ。


「……お前は、馬鹿だなぁ、A」


こんな俺の帰りを待っていてくれるのか。

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