【銀魂】もずのめ【高杉晋助】

百三十九匹 ページ39

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「……俺ァお前を愛していたよ。だがそれは、恋じゃあなかった」


親子愛、兄妹愛、師弟愛、友情に近い愛……
その全部を混ぜたようなもので、そのどれでも無いもの。


「傍にいると、安心する。ここが俺の居場所なんだと」

「居場所だなんて、そんな。鬼兵隊があなたの居場所でしょう」

「そうだな、だがそれは鬼兵隊総督高杉晋助の居場所はなんだ。俺の、ただの高杉晋助の居場所はお前の傍だったのさ」


……少し、わかる気がする。
いくら過激派とは言え、人員も大砲も戦艦も幕府には到底届かない。
そんな、不利の中で仲間を率いなくては行けないのだから、きっと鬼兵隊総督は本物の高杉晋助では無いのだろう。

仮面を被っていた。
人を惹き付ける魅力が増すように、狂人の仮面を。


「……鳥の私が、宿り木になれていたんですか。いやはや、嬉しい事です」


その仮面を、脱げる場所が私の隣であったのなら誇らしい事だ。


「……百舌鳥、か」

「はい」


晋助様は眉毛を八の字にして苦く笑う。


「お前には随分と無理をさせたな」

「好きでした事ですからね。無理も何もありませんよ」


ザアアと風が髪を揺らす。
ついたままの蝶々がチャリチャリとないた。


「……鳥籠の扉は開いたんだ。自由に生きてくれ」

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